ファースト・キル

2021年06月16日 水曜日

スティーヴン・C・ミラー監督、ヘイデン・クリステンセン主演、ブルース・ウィリス出演の2017年のアメリカ映画「ファースト・キル(First Kill)」

ウィル・ビーマンは息子が学校でいじめを受けている事を心配し、息子を田舎へ鹿狩りに連れて行く。
ウィルと息子は森での鹿狩りの途中で二人の男が口論をしているのを目撃する。
一方の男が相手を銃で撃ち、男はウィルの存在に気付いて銃を撃ってきたのでウィルはライフルで男を殺してしまう。
ウィルが殺した男に近づくとそれが警官だった事が分かり、その警官に殺されたと思った男が生きていた為、家まで連れて帰って治療をすると男はウィルの息子を人質に取ってしまった。

Amazon プライムビデオで配信が終わりそう、かつブルース・ウィリスが出ているので粗筋を読んだか読まないかで見てみた映画。

父子の関係や息子と犯人との関係をじっくりと描いていてドラマ部分はしっかりしているけれど、犯罪部分は想像や予想以上の事が何も起こらないという非常に普通過ぎる映画で、見終わった後の物足りなさったらなかった。

導入での息子に自信を持たせる為に鹿を銃で狩らせるという、最早クリンゴンかよと思ってしまう程の異星人感覚の文化乖離で、まずこれをどう感じていいのかで結構戸惑ってしまった。
後で犯人も「鹿狩りで親子の絆ね…」と言っていたので、ある程度はアメリカ人あるあるなのかもしれないし、アメリカの映画やドラマでこの猟って田舎や保守的な人のアイコン的に使われているのは知ってはいるけれど、小学生に銃撃たせるってどれ位一般的な感覚なんだろう?
日本でこれすると、小学生の息子に銃を撃たせるのって頭のおかしいヤバいヤクザか犯罪者になって、全然意味が違うしなぁ。
いじめの克服で銃で生き物を殺すって、いじめっ子も最終的に銃で撃ち殺せばいいじゃん…的に取ってしまうし、これの感覚がつかめないままで話が進んで行ったのがしっくりこないままの理由かも。

まあ、この父子の関係をじっくりとは描いていて、そこから銀行強盗の話になるけれど、これが緊張感も無くのっぺりと進んで行く。
初めから犯人は悪そうな感じがせずに事情もあるという背景を見せてはいるし、警察が怪しいという展開もあるけれど、銀行強盗の顛末が分かると急にしょうもなくなり、悪い奴は皆撃ち殺されて終わり…って、如何にもな典型的なアメリカのアクション映画の結末で捻りが無い。
全体的に捻りが無くて、そのまま真っ直ぐ進むだけなのでサスペンスとしては、何で今更これをするの?感が一杯。
ブルース・ウィリスも何でこの映画に出たんだろうか?

息子はこの経験で強くなりました的に締めてはいるけれど、何故か父親が百発百中で人を撃ち殺し、心が通じたと感じていたはずの犯人が死んでいったのを目の前で見ていたのに、この安易なめでたしめでたしはないよなぁ。
普通だったら強いトラウマで少しの物音に怖がったり、皆死んでしまうという強迫観念に駆られたりとかで真面に暮らしていけないと思うのだけれど。

わたしはずっと気付かず、エンド・クレジットが出てウィル・ビーマンを演じていたのがヘイデン・クリステンセンと知って、おっとなった。
ヘイデン・クリステンセンと言えば、どうしても青年時代のアナキン・スカイウォーカーになってしまうけれど、あんまりその面影が無くて引きずってはいない感じで中々良い。
一方でブルース・ウィリスはブルース・ウィリス。

この映画、ヘイデン・クリステンセンとブルース・ウィリスの名前が大きい分期待して見てしまうけれど、内容は至って普通と言うか、有り勝ちな巻き込まれ型のサスペンスで驚く展開も見せずに典型的な所に収まってしまい、おもしろくない訳ではないけれどそれ程おもしろくもないという映画だった。

☆☆★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply