ニック・オブ・タイム

2016年12月23日 金曜日

ジョン・バダム製作・監督、ジョニー・デップ主演の1995年のアメリカ映画「ニック・オブ・タイム(Nick of Time)」

娘と共にロサンゼルスに到着したジーン・ワトソンは行き成り警官と名乗る男と女に連れられて行くが、男と女は娘を人質に取り、ジーン・ワトソンにある人物の殺害を強要させようとした。

普通の人が殺人をしなくてはならないという状況に巻き込まれてしまうという発想から来ているサスペンスだとは分かるものの、設定が緩過ぎ、突っ込み所多過ぎな為に、その発想前提で全てが上手い事進んでしまう展開が酷くつまらなかった。

娘を人質に取られて暗殺を強要されるという設定は嫌なモノなんだけれど、そもそもこの暗殺計画がずさん過ぎて馬鹿馬鹿しい。
駅にいた何処の者とも分からない一男性を、「娘を人質に取れば何でもこちらの言う通りにするだろう!」という物凄い不確か過ぎる前提で自信満々で実行してしまうのだから余りにアホ過ぎる。
普通なら知事殺害事件となれば大事で、実際に殺されれば犯人の行動や動機等が調べられるはずなのに、ジョニー・デップの動機も行動もよく分からず、娘が殺されたとしても殺害事件のほぼ同時刻まで生きていた事が分かり、何で?ばかりが残る中、もし知事の後を引き継ぐ形で夫が立候補するのならば夫に対して怪しいという疑惑が及ばない訳はないのに、何故適当に選んだジョニー・デップなの?
普通に知事反対派住民の中で暴走しがちな人物を見付け出して脅して事件の犯人にした方が、動機的にも皆に怪しまれないだろうから全然いいじゃん。
見ていたら犯人側は用意周到な計画を練っての犯行らしいけれど、一番の要が調査も準備も何もしないでその場で適当に選んだ人物って、誰も異議を挟まなかったのかしらん?
だから、見事に失敗しているし。
それに序盤だと娘を助ける機会がやたらとあり、単にジョニー・デップがまごまごして行動しなかっただけで、この計画が簡単に終わってしまう可能性もあり、物凄く計画が緩い。

一番重要な場面でも、ジョニー・デップにはリボルバーを渡して、結局は外してもいい様に後ろでリボルバーでクリストファー・ウォーケンが狙っていたけれど、あの距離から上手い事リボルバーで当たるか?と思ったのだけれど。

展開としても、ジョニー・デップが結果知事を救い、娘も助けるという結末が分かり切っているのでドキドキ感は無いし、中盤で今まで耳が遠かったはずの靴磨きのおっさんが急にジョニー・デップを助け始め、何度も上手い事ジョニー・デップを助けるというお手軽な解決策を取ってしまってしょうもないし、知事の背景の描きが少ないので自分の夫を疑うという展開も結構突然だし、全然おもしろくは無かった。

ジョニー・デップの出演作としては映画「エド・ウッド」の次の映画がこれで、完全に作品選びを失敗したと思うし、そもそもこの役柄的に普通の父親だからジョニー・デップは合っていない様な気がする。ジョニー・デップだと何かしら過去にありそうな、もしくはちょっと特殊な人にしか見えなかったし。

クリストファー・ウォーケンは張り切って悪役してたなぁ。髪を振り乱して怒る所なんか笑ってしまったし。
そもそもこの映画は、クリストファー・ウォーケン側が間抜けな計画なのでジョニー・デップがことごとくスカして、それに振り回されてイライラするというコメディにしか思えなかったし。

知事の秘書役でグロリア・ルーベンが出ていたけれど、既にこの映画の時には「ER緊急救命室」にジェニー・ブレ役で出演していたのか。
丁度この映画見る前から、Dlifeで「ER緊急救命室」を放送していて見続けていたのだけれど、この映画のグロリア・ルーベンの見た目はジェニー・ブレと変わらずで、ドラマとの兼ね合いで特に見た目の役作りも無かったのかな?
この映画での役が、主人公が周りを敵に囲まれてどうしようも身動きが取れない状況で主人公を理解し協力してくれる人物はさっさと殺されてしまうという、まあよくあるハリウッドのサスペンス映画の教科書的な展開を見せるだけの役で笑ってしまった。

この映画、過去は持てはやされたけれど…だったジョン・バダムが人気のあるジョニー・デップでサスペンス作って隆盛再び!と狙ったのだろうけれど、まあ酷い設定の話で、常にジョニー・デップがグダグダしているので緊張感も無くつまらない映画になってしまい、この映画後ジョン・バダムはほとんど映画を撮っておらず、テレビドラマの方に行き、しかも長いシリーズの中の一話だけとかの監督になってしまっている。
一方のジョニー・デップはこの映画はこれ以降特に触れられもしないけれど大スターになったのを思うと、そこの分岐点だけで楽しむ映画かな…?と。

☆★★★★

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