ゲーム

2016年07月27日 水曜日

デヴィッド・フィンチャー監督、マイケル・ダグラス主演の1997年のアメリカ映画「ゲーム(The Game)」。

投資銀行家のニコラス・ヴァン・オートンは48歳の誕生日に弟から Consumer Recreation Services(CRS)という新たな体験が出来るという謎の会社のゲームの招待状をもらう。
ニコラス・ヴァン・オートンは乗り気ではなかったがCRSに向かい検査を受けると彼の周囲で不可思議な出来事が起こり始め、やがて自分の命や財産まで狙われ始める。

謎とどんでん返しの意外性を狙った映画ではあるものの、どんでん返しを狙い過ぎていて途中まではおもいろいのに最後まで見ると、「何じゃ、そりゃ…」と余りのしょうもなさに脱力してしまう。

これ、かつて一度見た事あるのでオチを知っての再見ではあったけれど、終盤までの訳の分からない巻き込まれ型サスペンスとしては結構おもしろい。
ただ、オチを知ってしまうと、そこまでの全てが余りに都合良過ぎる事ばかりで、最後まで見ると落ちの為に細かい所までの整合性は特に気にせず撮っているのが分かってしまい、白けまくる。

タクシー毎海に落ち、周囲にダイバーがいたとは言うけれど、下手したら溺死もあり得る危険性は無視?
住宅街での銃撃は周囲数ブロックはCRSが買収し、断りを入れておかないと直ぐ通報され、警察沙汰になれば会社が潰れる可能性があるし、全ての銃弾は空砲と言っているけれど、家の壁を貫通している様に見えたのも壁と室内に全て爆薬が設置されていて、誰かが見ながら丁度上手い事爆発させているって事?マイケル・ダグラスの自動車の窓や車体にも銃弾の穴が開いていたのも爆薬を設置していたって事?
CRS本部控室での銃撃も、マイケル・ダグラスが何処に動くかも分からないから全ての人の体に爆薬仕込み、部屋の壁や小道具等のありとあらゆる物に爆薬仕掛けて爆破させていたって事?
最後も、弟がボトルを持って出て来て、そのボトルに銃弾が当たるけれど、マイケル・ダグラスが撃たなかったらショーン・ペンはずっと胸の前でボトルかざしたまま?
マイケル・ダグラスをメキシコに置き去りにしているけれど、強盗に襲われる可能性もあるので周囲に人を付けているだろうに、何故かマイケル・ダグラスは一切気付かず、というよりその描写を一切していない手抜きがあるし、メキシコに不法入国でマイケル・ダグラスが捕まったらCRSはヤバいのに、そこまでの危険性を冒している意味が分からない。
一番酷いのは、最後の大オチに持って行く為だけに上手い事マイケル・ダグラスがエアクッションの真ん中に落ちるという都合良さ。何でマイケル・ダグラスがあそこから落ちると知っていたのかが都合良過ぎるし、あの高さから落ちて、ぶつかったのが割れるガラスだとしてもその衝撃なら頭割れてるでしょ。しかも、二度だし。
それにマイケル・ダグラスがあの高さから落ちたら上にいたはずのショーン・ペンも地上にいたけれど、上からやって来る速度早過ぎで都合良過ぎ。

それに、最後のマイケル・ダグラスの反応も都合良過ぎ。
あれだけ精神的に追い詰められて、殺人までしたと思い、そこから自殺まで図ったのに、「嘘でした~!」で「嘘なのか!」で納得って、どんだけ物分りの良い人なんだよ。普通なら、そのまま弟を死んでも構わない位にボッコボコにするだろうし、参加した人達には全ての取引打ち切り、やり返しを始めるか、人間不信で引きこもるだろ。

このゲームって、何故かCRS以外の関係無い人が入って来る余地が無いけれど、いや、入って来て幾らでも騒動になり、CRSに対して社会が責任追及して来る可能性もあるだろうに、そこら辺は何故か完璧過ぎるCRS。
それにマイケル・ダグラスがイラッとして、そこら辺にある物でぶん殴って人を殺してしまう可能性もあるのに、それもせず銃だけを頼りにしていたり、特に自殺のピンポイント落下を思うと、これってマイケル・ダグラスが全てを知っていてCRSに協力していないと成り立たないよな。

この映画、如何にも意外性を狙って、どんでん返しを狙って狙い過ぎて馬鹿みたいな事になってしまっているデヴィッド・フィンチャーの外れ作。
オチを知ってから見ると、あちこち都合が良過ぎ、机上の空論を映画にした感じで白けまくる事この上ない。
今思うと、このマイケル・ダグラスは始めに出て来た木偶の坊のピエロの様に誰かに用意され、誰かに操られるままに動くだけの自分の意志の無い人形でしかないよなぁ…。

☆☆★★★

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