S.W.A.T.

2016年07月25日 月曜日

クラーク・ジョンソン監督、コリン・ファレル主演の2003年のアメリカ映画「S.W.A.T.」。
1975年から1976年までアメリカで放送されたテレビドラマ「特別狙撃隊S.W.A.T.」のリメイク映画。

S.W.A.T.隊員ジム・ストリートとブライアン・ギャンブルは銀行強盗の制圧中に命令を無視して突入。立て籠もり犯を殺害して事件を解決したが、人質に怪我を負わせてしまい、その責任を問われた。
ジム・ストリートはS.W.A.T.を除隊させられたが武器庫係へと移動。ブライアン・ギャンブルは警察を辞めてしまった。
その後もS.W.A.T.への批判が強まり、上層部はかつてS.W.A.T.だったが辞めてしまったホンドーことダン・ハレルソンを呼び戻し、新たなS.W.A.T.部隊を作る事を命じた。その部隊にジム・ストリートも入る事となる。
その新たなS.W.A.T.部隊は国際指名手配されていた犯人を護送する任務を任されるが、その犯人はテレビカメラに向かって、自分を逃がしたら1億ドルをやると宣言。町中の悪人達が彼を助け出そうとし、S.W.A.T.部隊が阻止する。

今時S.W.A.T.を取り上げた映画となると今更感はあるけれど、この2003年当時でもどうだったかな?今更感はあった様な気がしないでもないし、この映画の内容的にも色々と王道と言うよりも相当ベタな部分が多いけれど、二時間で見せる所見せてキッチリまとめていて、中々おもしろかった。
護送が始まったら途端に街中での銃撃戦とか、対ハイジャック犯の訓練とか、アクションや銃撃戦の見せ場は多いし、これもおもしろかったし。
対ハイジャック犯の訓練なんか、完全に「レインボーシックス シージ」だしな。と言うか、十数年経ってゲームが映画に追い付いたのは凄い事でもあるなぁ…と感心。

展開は、人を救ったけれど命令無視や人質の負傷で責められる主人公と相棒の相反する反応という前日譚部分とか、その後伝説的なS.W.A.T.隊員が復帰して新しい部隊を作る為にS.W.A.T.ではない新人を集め、訓練して、徐々に仲間意識が出て来るとか、そこから後半の悪い奴の護送で部隊が窮地に陥るとか、かつての相棒が敵として現れるとか、非常に王道な展開でちょっと気恥ずかしい部分はあるものの、テレビドラマだったら1シーズンを使ってする様な事を凝縮して見せ切っていた。
ただ、描く内容に対して時間が少ない事もあって、何で新しい部隊に完全な新人を入れ、その人達、特にディーコン・ケイを選んだのか?とか、あれだけ仲間意識があったのに、T・Jはあっさり裏切ったのか?とかの各人物の背景描写が少なくて引っ掛かる部分はあるし、それまで部隊員達を立てる様に描いていたのに、終盤の護送になるとマイケル・ボクサーは早々と退場してしまうし、T・Jは裏切った後が何も活躍していないし、あれだけ偉そうにリーダーを引き受けていたホンドーは大して活躍が無いし、クリス・サンチェスもディークもそれ程活躍が無いという尻すぼみな人物描写も気にはなった。

それにこの映画のS.W.A.T.隊員と言うか、警察官は皆アホな感じしかしないのも微妙な所。
普段の会話が下品なのもそうなんだけれど、何の為にS.W.A.T.に入ったのか分からない事になってしまったブライアン・ギャンブルとかT・Jの扱いもそうだし、主人公のS.W.A.T.隊員しか活躍せず、他の警察官達が全然前に出て来ないし。
「チームワークが大事」と言う割に、スーパーヒーロー的な一人がいれば問題無いという全体はどうなんだ?

あと、ベタなのは配役も。
この時期、コリン・ファレルが徐々に頭角を出して来ていて、この後映画「アレキサンダー」や「マイアミ・バイス」等のアクション映画に出る事を思うと、非常に順当な主役。
サミュエル・L・ジャクソンって、大体口汚いお喋りなチンピラか、伝説的な指導者役が多いけれど、まさにこの映画は後者でベタベタ。
勝気で男性の中でも負けない強い女性のS.W.A.T.隊員役がミシェル・ロドリゲスって、これまたベタベタ。
陽気で頼れる黒人隊員がLL・クール・Jって、これもベタベタ。

ちょっとおもしろかったのはこの映画の基となったテレビドラマ「特別狙撃隊S.W.A.T.」の扱い。
劇中でマイケル・ボクサーが自分の家のテレビでこの「特別狙撃隊S.W.A.T.」を見ているんだけれど、と言う事は、この映画はドラマが原作ではあるけれど、ドラマはドラマとして存在しているというちょっとメタフィクション的な扱いで、このくすぐり方は良い感じ。

この映画、主人公のS.W.A.T.除隊から復帰と訓練という準備段階から、後半の護送へと非常に気持ち良く流れる展開と、見せたい部分をはっきりと打ち出してまとめた上手さに感心。
ただ、最後まで見ると、特に終盤は結局はよくあるハリウッドのアクション映画に落とし込んでしまっているので、そこはベタにしない、もう一捻りが欲しかった所。

☆☆☆★★

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