リボルバー

2016年07月22日 金曜日

ガイ・リッチー監督・脚本、リュック・ベッソン製作・脚本、ジェイソン・ステイサム主演の2005年のイギリス・フランス映画「リボルバー(Revolver)」。

七年間刑務所で服役したジェイク・グリーンが出所し、自分をはめたマカに復讐する為、マカが経営するカシノで大勝して立ち去るが、突如として失神してしまう。医者に診てもらうと重篤な病気で後三日の命だと知ったジェイク・グリーンの前に闇金の男二人が現れ、有り金全部と引き換えにマカが放った殺し屋から守ってやると取引を持ち掛けられた。

この映画、各国で酷評だったらしく、そのせいでかこれだけ日本市場でも客は入るであろう有名な製作陣と役者が名前を揃えているのに日本での公開も2008年とほぼ三年後になったという映画。
まあ、わたしはそんな前評判も知らず、マドンナと結婚・離婚をした事でも有名なガイ・リッチーが監督で、ガイ・リッチーの映画見た事無かったので、どんなモノか?と思って見てみたけれど、これが色々酷くて、クソつまんなかった。

まず前提として、わたしはジェイソン・ステイサムが全然好きではない。…だったら、ジェイソン・ステイサム主演の映画見んなよ!と言う話ではあるのだけれど、上記の理由で有名なガイ・リッチー監督作を見てみたかったからなんだけれど、ジェイソン・ステイサムの好きではない理由としては、あのぬらりひょん顔が好きじゃあないと言う部分では、この映画は何故か何時も禿げ頭のジェイソン・ステイサムが長髪でちょっと違う雰囲気でそこは良かった。ただ、映画の始まりから行き成り、普通は本や名台詞からの引用は一つに止める所を四つの名言を出して、そこに長髪のジェイソン・ステイサムが出て来たんだから、「これって、コメディ!?」と笑ってしまったけれど。
で、もう一つのジェイソン・ステイサムの好きではない理由の彼の声なんだけれど、ジェイソン・ステイサムの声って、わざとらしく低く抑えてカッコ付け過ぎな感じがして嫌なんだけれど、この映画はそのジェイソン・ステイサムの心の声が重要な要素となっているので、やたらとジェイソン・ステイサムのナレーションが入り、序盤の見れば分かる様な事を一々喋るのがうっとおしくて、もう早い段階で駄目。30分位から早送りしてしまった。

それに、演出が全然駄目だった。
常に小気味良い音楽に合わせ早い編集で見せているんだけれど、これが「どう?お洒落でしょう?イカしてるでしょ?」とガンガンに押し付けられる鼻に付き様で、ジェイソン・ステイサムのナレーションもあってうっとおしくてしょうがなかった。
特に序盤の、ジェイソン・ステイサムとレイ・リオッタのギャンブル対決の場面では、二人は何だかんだと話しているのに二人が何のギャンブルで対決していて、何がどうなっているのかを映像で全然見せないので、現状何が起こっているかも見せないんだ…と早くもつまずいたし。
その後に急に実写から説明も無くCGアニメーションになる場面があり、この「どう、こんな演出?お洒落でしょう?イカしてるでしょ?」と恥ずかしげも無く前面に押し出して来るのが大嫌い。ここら辺から、真面に見る気はしなかった。

まあ、この映画の問題となっているであろう、後半の色々解釈出来る展開については、色々な解釈でもどれもグダグダで酷い有様。
直球にジェイソン・ステイサムが二人に操られていたとしても、ジェイソン・ステイサムと接触も会話も無いのにジェイソン・ステイサムの事を知りつくし、あらゆる先の手を考えていた二人とかなんて、それをする為だけにしても余りにご都合主義なそれまでの展開。
じゃあそれだったら、二人は存在しないジェイソン・ステイサムが作り出した別人格としても、何でレイ・リオッタ側の今の情報に関してそんなに知っているの?だし。二人の手下ドリーンとか、彼等から金を借りていた人達は?ってなるし、襲って来た手下が無抵抗なまま担いで撃ち殺したって話していた実際はどうだったのかは全く描かないし。
レイ・リオッタにしたって、殺人も何とも思っていない犯罪を重ねたからのあれだけの地位を手に入れたのに、「噂でしか知らない謎のボスが自分の事を殺しにやって来るかもしれない。怖いよー!」と最後のオチまで行くって、設定的に違和感ばかり感じたし。レイ・リオッタが初めは冷静だったのに、終盤やり過ぎた位のヘタレ演技になっていたのもあるんだろうけれど。

じゃあ、この映画で登場する実際には存在しない12ドル札とか、何故か13階だけないホテルとか、何処にも出入り口が無い様な屋上でゴルフしているとか、やたらと真っ白な独房とか、こんな事から実は全てはジェイソン・ステイサムの頭の中だけの話としても、レイ・リオッタの手下の行動とか、やたらと麺を食べ続ける中国系のマフィアとかの自分には直接関係無い所まできっちり妄想しているとか、どんな律儀な人物なんだ。そこまできっちり妄想しても、際には存在しない12ドル札とか、何故か13階だけないホテルとか、何処にも出入り口が無い様な屋上でゴルフしているとか、そこはやたらとファンタジーにしてしまう都合良さって何なの?だし。
このジェイソン・ステイサムの頭の中だけという話にしても、その自分視点以外の余計な部分が多過ぎて、それがミスリードにもなっておらず、それまでただ普通に描いたのに最後に無理矢理脳内妄想へとねじ込んだ感じしかしないし。
で、「これまで色々言って来ましたが、全部妄想でした!」と宣言されても、こちらは無表情でただ黙って何も思わないだけだしな…。
まあ、ある意味、そんなガイ・リッチーのどうにもならない妄想を延々と見せられるだけという地獄を表現してしまった映画だよなぁ…。

あと、やたらとレイ・リオッタのパンツ一枚姿を出して来るのは何だろう?始めは笑ったけれど、余りに何度も出し、しつこ過ぎて最後の方は見る気がしなかったし。

この映画、色々解釈出来ると言えばそうなんだろうけれど、本来なら描く部分をお洒落やイケてる感じを出す為だけにすっ飛ばして分かり難くしているだけの様にも思えるし、何より脚本にリュック・ベッソンが入っているので結局はあの「アレ」なリュック・ベッソンだからのこのあり様にも思えるし、散漫にしておいて何処にも焦点を絞り込まずに投げっ放しジャーマンを放って逃げ出してスカしている感じもあるしで、全然印象が悪い。
何より前半の謎で引っ張る部分がつまらなく、ジェイソン・ステイサムのナレーションがうっとおしくて見る気を失くすという時点でつまらないんだけれど。

★★★★★

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