斬撃 -ZANGEKI-

2015年11月08日 日曜日

リチャード・クルード監督、スティーヴン・セガール製作・主演の2009年のビデオ映画「斬撃 -ZANGEKI-Against the Dark)」。

突然謎のウイルスが蔓延し、感染した人々は狂暴化し人間の血を求めて襲い始めた。社会は崩壊し、生き残った人々は逃げ惑うだけだったが、ハンターと呼ばれる人々は感染者を次々と排除していた。

ほとんど現代劇のアクションモノしかしなかったスティーヴン・セガールが、珍しくホラーをやってみた映画。
始めは人々を襲う感染者が登場して世界が崩壊しているので、何時頃から再び流行り始めたのか分からないけれどゾンビモノではなくバイオハザードモノを今更流行りに乗りたかったスティーヴン・セガールがやったのか?と思ったら、この感染者を登場人物達は「吸血鬼みたいだ」と言っているので、吸血鬼を華麗にやっつける「ブレイド」を今更やりたかったのかと思う様な内容。
…なんだけれど、スティーヴン・セガール映画でもスティーヴン・セガールが主演だけれどほとんど登場せずに他の人物が主役になってしまっている方のスティーヴン・セガール映画で、スティーヴン・セガールが出演しているというだけの売りだけれどスティーヴン・セガールを楽しめない映画。
序盤から病院に集まって来た人々が感染者をかわしながら病院を脱出する話が延々と続き、所々でスティーヴン・セガールが感染者を叩き切る場面が挟み込まれる。終盤に差し掛かってスティーヴン・セガール達が病院を逃げ惑う人々を助けに来るけれど、ほとんどスティーヴン・セガールが活躍はしないと言うか、そもそも登場自体が少ない。ただのお助け人物スティーヴン・セガールが狂言回しになっておらず、話を回している病院の人々の群像劇は全く面白味が無く、逃げ惑う恐怖にしてもグダグダやっているだけで「だからどうした?」以上のモノが無い。
そもそも病院に新たにやって来た人々がいるのに、その人達がやって来た窓から逃げ出さずに感染者がいる病院をうろつく理由も分からない。何故スティーヴン・セガール達が病院目掛けてやって来たのかも分からないし、スティーヴン・セガール達も何で軍の銃を持った兵士ではなく刀を振り回している少数のおっさん軍団が人々の救出をしているのかもよく分からない。

それに感染者は吸血鬼で狂暴に襲っては来るけれど、吸血鬼的な超人的な力や能力も無く、突き飛ばして体をぶつければ気絶してしまうという弱さ。バイオハザードモノなので、ゾンビの様に銃で撃たれたり、切りつけられても平気なのかと思いきや普通の人間と同じく死んでしまうしで、敵としての怖さが全然無い。
敵となる相手が弱いからなのか、何故か登場人物が全然銃を持っていない。病院に集まって来た人々は生き延びようとしているはずなのに誰一人として銃だけでなく武器すら何にも持っていない。アメリカでこんな事になれば、皆真っ先に銃を手に入れるだろうし、そうでなくとも相手も決して死なない訳ではないのだからバットやゴルフクラブの様な打撃系の道具を携帯するはずなのに、それすら持っていない事が不思議。

スティーヴン・セガールが主演なのに主役でもない時点で酷い方のスティーヴン・セガール映画だけれど、近年お馴染みの編集で大して動いていない事を誤魔化している省エネアクションは極まって、この時ブックブクに太っているスティーヴン・セガールが刀を振り下ろしているバストアップの場面ばかりという、まあどうしようもないアクションに仕上がっている。
しかし、この邦題は秀逸。スティーヴン・セガールが全然主役でもないし、活躍もしないけれど、スティーヴン・セガールで売るならスティーヴン・セガールがただ刀を振り下ろすだけの内容なので「斬撃 -ZANGEKI-」はピッタリ。

このビデオ映画、スティーヴン・セガールが「ブレイド」らしきモノをしていますな内容なんだれど、主役はスティーヴン・セガールでもなく、スティーヴン・セガール自体は話の脇役でしかなく、話の展開上全然必要も無い役のスティーヴン・セガールが刀を振り下ろしているだけで酷いモノ。話の主役達はこの手のホラーである展開よりも遥かに面白味の無いグダグダした感染者から逃げ回るだけで展開で見せるモノも無いし、よくこんなのが出来上がったな…という…。

☆★★★★

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