夜霧よ今夜も有難う

2014年12月18日 木曜日

江崎実生監督、石原裕次郎主演の1967年の映画「夜霧よ今夜も有難う」。
映画「カサブランカ」を翻案した映画らしい。

船乗りの伴次郎は、求婚した北沢秋子が交通事故に合ってしまう。その後四年経ち、伴次郎はナイトクラブを営業しながらのっぴきならない人達を外国に逃がす裏稼業も営んでいた。そこに別の男性と結婚した死んだはずの北沢秋子が現れた。

これはヘラヘラしながら笑って見れるコメディで、話は深刻な話だけに滑稽さがより引き立っている。
映画の始まりで、浅丘ルリ子が結婚が決まって、ダンスを止めて出て行く時に「結婚するの!」と言ったら、音楽が「キラリン!」と鳴った時点で「ああ、この映画コメディなのか…」と思ってたら、その後も浮かれた浅丘ルリ子が行き成り車に轢かれたらしい時のフワッと身を回した演技とか、初めて石原裕次郎の元に外国に逃してくれと頼みに来た恋人達の茶番とか、石原裕次郎は違法に人を外国に逃がす稼業もしていて人が頼みに来るのに全然逃がす気配がないとか、どう見ても日本人なのに顔を黒く塗って黒人とか、少し焼けている化粧で東南アジア人とか、グダグダしている上に撫でる様な殴り合いとか、本当に馬鹿馬鹿しい事が一杯。
何よりコメディになっているのは、石原裕次郎がカッコ付けているけれど全然カッコ良くないから。昔のスターって、映画を見ればその人がスターだった理由も何とはなく分かるけれど、石原裕次郎の映画のどれを見ても全然格好良くも無いし、演技は上手くないし、何で石原裕次郎がスターだったのかがよく分からない。この映画でも、そう。石原裕次郎のぽっちゃりした色黒な丸顔にアップになり、紗がかかる場面なんて笑ってしまうよなぁ。バーでグランドピアノ弾きながら演歌を歌う石原裕次郎は意味不明だし。

話は浅丘ルリ子が石原裕次郎と結婚しなかった話がいまいち分からない。浅丘ルリ子が謎の外国人に自動車で轢かれたから子供が産めない体になってしまい、石原裕次郎の元に行かなかったのもいまいち分からないけれど、その原因となった自動車で轢いた外国人と結婚してしまう浅丘ルリ子もいまいち分からない。助けてくれたから?彼が愛してくれるから?原因はそいつでしょ?
あと、構成も不味く、一時間位まではドンドンと話が進んで行ったのに、それからは最後へ向けて急に話が失速。物凄くダレてしまい、話の結末がどうでも良くなって来る様な眠たさ。

この映画、結局石原裕次郎主演という事が重要で、内容はその後のアイドル映画と大して変わらない様な出来。全てにおいて、「格好付けているけれど、全然格好良くもない」に尽きるんだろうな映画。

☆☆★★★

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