2014年08月07日 木曜日

アルフレッド・ヒッチコック製作・監督、エド・マクベイン(エヴァン・ハンター)脚本、ティッピ・ヘドレン主演の1963年の映画「鳥(The Birds)」。
ダフネ・デュ・モーリアの短編小説「鳥」が原作。

メラニー・ダニエルズはシカゴのペットショップで偶然会ったミッチ・ブレナーにいたずらをされ、その仕返しと彼への興味から彼の妹の誕生日プレゼントとして欲しがっていた小鳥をあげる為に、ミッチ・ブレナーが住むボデガ・ベイへと出かけて行った。彼の家から戻るメラニー・ダニエルズはボートでカモメに攻撃されて怪我を負ってしまう。

この映画、やっぱり変わっている。
前半はティッピ・ヘドレンの押し掛け恋愛から始まり、近くに住む元恋人や、ロッド・テイラーの母親との微妙な関係の恋愛映画なのに、中盤から一気に鳥が人を襲うというパニック映画になる。映画「フロム・ダスク・ティル・ドーン」みたいな前半と後半で全然違う映画。
前半の男性一人に対し、彼の母親と二人の女性の愛憎巡る大人しい恋愛劇は結構おもしろく見ていたけれど、後半の鳥になってからはその恋愛劇の結末が何の結末も見せずサスペンスの小道具でしかなくなるので、「だったら前半いらんじゃん…」と萎えてしまうし、そもそも良い所のお嬢さんが田舎町の弁護士なのに色の黒いゴツゴツしたおっさんに惚れるのもいまいち分からない。まあ、多くの20世紀中盤のアメリカの恋愛映画の当時のカッコ良い男性の基準が今見るとさっぱり分からないのはあるけれど。
後半の鳥の襲撃になると今までの恋愛劇の意味がほとんど無くなるし、それまで女性達が主役でロッド・テイラーは彼女達を引き立てる脇役だったからおもしろい恋愛劇だったのに、鳥の襲撃以降はティッピ・ヘドレンは特に活躍もしないままロッド・テイラーががんばるという展開になってしまい女性が主人公だった意味も無くなるし、結局は二つの要素をまとめ切れなかった感ばかり。
それに外は鳥で危険と分かっているのに、何でか知らないけれど外に出たり、わざわざ覗いたりして襲われてしまうのって、この後のホラー映画のお約束になってしまっていて、もうコントに近い。

この映画の影響としては、この後沢山作られる「意味も分からず動物達が襲って来る映画」の始祖になるんだろうけれど、わたしはゾンビ映画ではなく、バイオハザード映画に対する影響を感じてしまった。ゾンビ映画って、価値観の異質な者がゆっくりゆっくり迫って自分とは違う側へ取り込もうとしに来る恐怖だけれど、バイオハザード映画って、人間が原因かもしれない狂暴化した人間が群れを成して行き成り意味も無く素早く襲って来る恐怖って、この「鳥」に近いと思ってしまった。

主役を演じるティッピ・ヘドレンは、良い所のお嬢さんで、結構わがままな感じが凄く出ていて良い感じ。一方のロッド・テイラーは、カッコ良くも無い普通のおっさんなので印象に残らず。もう一人の女性スザンヌ・プレシェットはパッと見た時エリザベス・テイラーかと思った位印象的だし、母親役のジェシカ・タンディは神経質で思い詰めた感じが非常に良い。このジェシカ・タンディって、「ドライビング Miss デイジー」のおばあさん役の人なのか。

この映画、当時としては斬新でおもしろい映画だったのかもしれないけれど、前半の恋愛劇をじっくりと描いたのに行き成り全部投げ出して急にホラー始められても、後半の鳥のホラーを描くなら前半の恋愛劇は長い分余計にしか思えず、だったらサラッと鳥の部分を早く描いた方がサスペンスとしては良いんじゃないだろうかしら?と思えてしまう。鳥の襲撃は結構おもしろいにも関わらずエンジンがかかるのが遅過ぎるし、それに割く時間は少ないしで、発想をまとめ切れてない感じは強い。

☆☆☆★★

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