濡れ髪三度笠

2013年11月12日 火曜日

田中徳三監督、市川雷蔵主演の1959年の時代劇映画「濡れ髪三度笠」。

徳川将軍の三十八番目の息子長之助がくじ引きで甲州の藩の城主に決まり、江戸に赴く事に。その道中、彼が藩主になる事が気にくわない藩の者が刺客を送り、長之助の殺害を企む。それを以前長之助を助けた事のある流れ者のヤクザ者、半次郎が助ける事になる。更に、身売りの為旅をする父娘、半次郎を追っかけて来る女性、弥次さん喜多さんまで加わり、暗殺と珍道中という笑いの入った股旅物。

世間知らずの若い殿様本郷功次郎と、ヤクザ者市川雷蔵のデコボココンビが中々おもしろい。抜けた殿様を何とか世話する人情まっしぐらのチャキチャキの江戸っ子役が市川雷蔵で、まあ市川雷蔵がおいしい役なんだけれど、ひょうきんかつ、男気満載で市川雷蔵の魅力爆発。
話の主軸は権力争いから来る暗殺話なんだけれど、淡路恵子が一方的に市川雷蔵を追っかけて来たり、中村玉緒と本郷功次郎の身分の違う恋愛話もありと、結構ほんわか、お涙頂戴な雰囲気で、全然柔らかい。偶然会った人達が再び出会って一緒に行動とか、まあ都合の良い所は沢山だけれど。それに、最後は今までの市川雷蔵の行動や話が無駄になってしまい、「えっ?それで良いの?」という結末で結構な肩透かし。別に必要も無いけれど、途中に中田ダイマル・ラケットが出て来て賑やかししたり、和田弘とマヒナ・スターズが出て来て歌歌ったり、当時の人気者を出すおまけもあったりして、今のコメディ色のあるテレビドラマみたいな安っぽさもあるけれど、まあ、そういうコメディ映画だからか…。

チャンバラもあり、一方で戦わず策略で切り抜けたりもあり、恋愛劇もあり、笑いもありで、非常に小気味良い娯楽時代劇。各役者の魅力もちゃんと引き出し、話も中々まとまりも良く、上手く出来上がった映画。

これのヒットでなのか、これ以降「濡れ髪喧嘩旅」「濡れ髪牡丹」とシリーズ化されるけれど、市川雷蔵主演ではあるのに毎回役名や役柄は違うという変なシリーズ化になっている。

☆☆☆★★

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