メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス

2013年10月22日 火曜日

2009年のビデオ映画「メガ・シャークVSジャイアント・オクトパスMega Shark vs Giant Octopus)」。

アメリカ軍の新型ソナーの極秘テストによって、氷壁の中で氷漬けになっていた古代の巨大な蛸と鮫が復活。船や海上採掘基地や飛行機まで襲い始める。二匹の復活をたまたま見ていた女性科学者が、恩師と日本の科学者と共に謎の生物を探り始める。

こりゃあ、酷い。全てが酷いのだけれど、何より先ず、巨大鮫と巨大蛸が全然活躍しない。この題名でこの題材なら、二匹がバンバン船やら人やらを襲う事を期待し、巨大生物が暴れまくれれば話や展開なんてどうでもいいのに、変に話を見せようとして人間の科学者のどうだこうだばかりで、巨大生物の登場自体が少なく、つまらない。巨大生物が暴れまくったり、人工物を破壊するとなるとCGを使わざるを得ず、それだとお金がかかるのでなるべくCG場面を減らそうとすると巨大生物の登場は当然少なくなってしまう。他にも安く仕上げようと、潜水艇・戦艦・潜水艦などの操縦席はスタジオに何かの大きな計器を運び込んで置いてあるだけなので、それがばれない様に周囲を見せない為に常に人物ばかりを映し、船の全景は何かの資料映像みたいなジャンク・フィルムだと思われる物ばかり。必要のある場面はCGで作っているけれど、それもほとんどが五秒以下で、しかも同じ場面を何度も使い回す。酷い時は1カット前のCG場面を速攻で使い回しているし。それに意味が分からないのは、登場人物が移動する度に字幕でそこが何処なのかをやたらと入れ、しかも同じ場所なのにまた外観を映して場所の説明字幕を入れるし。
そして何故か、船内や軍の基地内では照明が青・赤・紫・緑・黄色と言うサイケな色で、そのサイケが何を表しているのか、さっぱり分からない。

全体的な作りも酷いけれど脚本も当然酷く、話はすっ飛ぶ、理由はどっか行く、説明足りずな場面が多々。主役達三人で鮫と蛸だと分析していたのに、何故か突然軍が襲撃して来る。どうやって軍は嗅ぎつけたの?それ以前に主人公は「FBIに尾行されている!」と言うのだけれど、場面としては一切出て来ないし、その会話以降FBIは全く出て来ないし、FBIと軍が関係しているのかも一切無いし、何でFBIを匂わしていたのかも不明。
登場人物も、序盤にいた女性科学者の相棒や、彼女が所属していた組織の上司とか、後半への何かしらの伏線かと思ったら序盤以降全く出て来ず、無駄な登場。

この映画での一番の見せ場は、巨大鮫が海上を飛ぶ飛行機に飛び付いて喰い付く場面。余りの馬鹿馬鹿しさに笑ってしまったけれど、良く考えるとジェット機が何で海面近くを飛んでいるのかが不明だし、時速数百kmで飛んでいる飛行機を鮫はどうやって海中から認識していたのかも不明と、一笑いを取る為だけに無理矢理ねじ込んだ場面。
この場面も馬鹿馬鹿しいのだけれど、それ以上に馬鹿馬鹿しかったのが、二匹をおびき寄せる為に主役三人が軍の施設で研究する場面。蛍光塗料を溶かした赤・青・黄色のドギツイ色の液体が入った試験管やビーカーを何やらいじり、その後ろでは研究室なはずなのに銃を持った迷彩服を来たエキストラがやたらと行ったり来たり。この場面、物凄く安っぽい。そもそも「フェロモンだ!」と気付く前は三人で何を研究してたんだろう?

この映画、グダグダした上に真面な出来にもなっていない脚本と思ったら、日本のアルバトロス・フィルの関連会社のニューセレクト社がストーリーを考案したそう。アルバトロスって「酷い」「駄目」を狙って笑おうとしているのかと思ったら、ただ単に本気で酷くて駄目なだけなのか…。
日本の会社が考案したからなのか、主役三人の内一人が日本から来た海洋学者。日本人の設定だけれど、演じるヴィク・チャオはアジア系アメリカ人。日本向けに日本を登場させる為に日本人役も出しても、単に真面に英語を喋る日本人役者がいないからアメリカ人俳優なのは良いけれど、この海洋学者がやたらと甘い言葉を吐く色男で、如何にもアメリカ人。こんな日本人は、まずいない。アメリカに丸投げしたんだろうなぁ…。

この映画、変に照明や編集や編集効果で誤魔化そうとはしているけれど、安く仕上げたのを隠し切れずに、脚本も含め「うわ~…、安い…」としか思えない。こういう映画は話や展開なんて気にしなくていいから、おもしろく巨大生物が暴れるだけでわたし含め、見ている方は満足なのに、完全に方向性を間違って楽しむ部分がほとんど無い「ただ酷い」だけの映画になってしまった。

それにしても、巨大鮫って何でこんなに需要があるのだろうか?「killer shark films」なんてジャンルがあるみたいだし。単に映画「ジョーズ」の亜種によるヒット狙いなのか?それとも、「ジョーズ」コンプレックスなんて存在しているのだろうか?

☆★★★★

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