シャッフル

2013年10月06日 日曜日

メナン・ヤポ監督、サンドラ・ブロック主演の2007年の映画「シャッフル(Premonition)」。

リンダ・ハンソンはその日、夫のジム・ハンソンが自動車事故で死亡した事を知らされる。しかし、起きた次の日には死んだはずの夫が普通に生活しており、日付も二日前になっていた。そのまた起きた次の日は夫の葬式の日になり、前日の事は自分は知らないが、皆は知っていた…。

サンドラ・ブロックが目覚めたその日が一週間の内バラバラな日に飛び、困惑しながら何が起こっているのかを知ろうとする話。始めは、実際に時間を飛び越えているのか、夫の死で受けた衝撃で精神がおかしくなったからの妄想なのかで見入るのだけれど、サンドラ・ブロックは夫に「あなたが死んだ…。」とも一切言わないし、後日に見た景色通りになる様な事をその日にしていてもサンドラ・ブロックは一向に気にしないし、そもそも日が飛んでやって来る事に当惑はするけれど深くは追及しないという諸々の事を見てしまうと自ずから結末は見えてしまう。もっとミスリードさせる様な振りや演出があっても良さそうなのに、サンドラ・ブロックの何もしなさで分かってしまうのは流石に痛い。
しかもこの映画で性質が悪いのは、サンドラ・ブロックに起こった事が全てが事実だとすると色々と矛盾だったり、説明のつかない事が出て来るけれど、それを「信仰」「奇跡」で理由付けというか、説明の放棄をしてしまっている。それだと何でもありだし、やりっ放しで説明せずに投げ出しているだけ。製作陣は映画「メメント」をしたかったのだろうけれど、まあ脚本が駄目駄目で、上手さやおもしろさなんてありゃしない。
それに、これをサンドラ・ブロック目線ではなく、起こった事順、ちゃんと曜日毎に並べて行くと、錯乱した奥さんが旦那を死に導いただけで、それなのに最後急に奇跡で良い話みたいな雰囲気に持って行って、結局何か感動するでしょ?的な終わりにしてしまうのは、全然そんな事も無く強引過ぎる。近年よく見る様になった、一般的な常識では説明のつかないSF的な不可思議な事を題材にして、その謎で引っ張るけれど、最終的にはそれを有耶無耶にする様な感動の話に持って行く映画って、ろくな出来上がりにならない。

精神科医役を「プリズン・ブレイク」のジョン・アブルッチ役でお馴染みピーター・ストーメアが演じているのだけれど、「うわ!彼怪し過ぎ!」と思ってしまったのは、この映画の製作陣ミスリードとしての配役なのか、それとも関係無いのか、全然分からない。

サンドラ・ブロックがこの映画でそうだけれど、アクション映画や強烈な個性を発揮して有名になった俳優って、その話題性で映画に人が来なくなり始めると不可思議な状況に追い込まれた主人公を演じるサスペンス映画に出るけれど、大抵のその手の映画って謎明かし前にすでにガッカリする様な映画ばかり。結末まで行っても驚きも無く、非常に素直過ぎるオチで、見終わってガックリするばかり。これも愛を出している風で、精神の混乱から来る身勝手さばかりが押し出され、主人公に身入れ出来る訳でもなく、謎解きに身が入る訳でも無く、結局見終わってもガックリ。

☆★★★★

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