ゆりかごを揺らす手
2013年06月22日 土曜日カーティス・ハンソン監督の1992年の映画「ゆりかごを揺らす手(The Hand That Rocks the Cradle)」。
バーテル一家の奥さんは出産を控え産婦人科に診察に行くが、その産婦人科医がわいせつ行為を働いたので訴える。それが原因で産婦人科医は自殺し、産婦人科医の妻は流産してしまう。やがてバーテル家には子供が生まれ、忙しくなったので子守を雇う事に。それが素性を隠した産婦人科医の妻で、赤子を自分の子の様に思い、バーテル夫妻に気付かれない様に微妙な嫌がらせを始める。
スリラーやサスペンス映画としては非常にまったりと子守の復讐が描かれ、結構ダレる。それもどれも微妙なモノばかりで、徐々に追い詰めている感さえ感じられない。ちょっとした小細工で全てが子守の都合良く行ってしまうのも何だかなぁ…。
何より子守の話が中心で、夫妻は何故か子守を疑いもしない人の良過ぎる人達で、夫妻が彼女に乱されるだけで段々と馬鹿に見えて来てしまうのが痛い。まず、旦那の友人が見とれる様なまだ若い美人の子守を同居させる奥さんの考えが理解に苦しむ。ただでさえ、友人の女性と飲みに行っていただけで泣き叫ぶくせにだ。旦那は旦那で微妙に子守に惹かれたり、最後に子守が実力行使に出ても終始弱過ぎ、存在感なさ過ぎで、旦那の役立たずっっぷりたらありゃしない。
あと、アーニー・ハドソン演じるソロモンが、一人だけが子守の危なさに気付き、最後に上手い事登場して助けるなんて、役柄的にベタ過ぎるし、狙い過ぎの感も。
この映画が一般的なアメリカの中流家庭の普通なのか分からないけれど、まだ生後一年も経っていないであろう赤子を、夜別の一部屋で寝かせているのは良いのだろうか?泣いても別の部屋の親は聞こえないだろうし、子守は地階で寝泊まりしていて付きっ切りでもないし。まだ生まれたての赤ん坊って、もっと頻繁に面倒見てやらないといけないんじゃないの?
夫妻を演じるアナベラ・シオラとマット・マッコイが見事に冴えない感じがおもしろい。普通の家庭の夫婦を演じるにはぴったりだけれど。
産婦人科医が「スタートレック」のQ役でお馴染みジョン・デ・ランシーだったので笑ってしまった。Qそのまま。
友人の妻役でジュリアン・ムーアが出ているけれど、今と雰囲気が違う感じで今よりも老けている感じだし、それ程目立つ役でもない。何じゃそりゃな最後だったし。
この映画、やっぱり微妙。夫妻はお人好しで間抜けにしか見えないし、子守の復讐は微妙な上、決定打が無く、追い詰め感が甘く、恐怖感が出て来ない。演出は間延びして怖さが盛り上がらないし、二時間近くもいらない。結局、嫌らしい事する為に産婦人科医になった様な最低な男とサイコな女が結婚してしまったという事が一番の恐怖。
☆★★★★