赤と黒

2012年04月20日 金曜日

スタンダールの小説「赤と黒」が原作の映画「赤と黒(Le Rouge et le Noir)」。

「赤と黒」って題名は聞いた事はあるけれど、どんな話かは知らず、これを見て知る。僧侶になりたいけれど権力志向が強く、女ったらしで不倫したり、ちょっかい出したり、自分に酔った自虐男の話。
長編小説の映像化だから、始まりは本をめくり、そこに製作陣の名前が書かれていたり、所々に格言や著者スタンダールの言葉が入るという演出はあるのだけれど、やはり長編小説の映像化だから、説明不足だったり、非映像的でいまいちな出来になっている。
主人公が夫人に惹かれたり、またその逆も描写が無く、行き成り不倫が始まるので何のこっちゃ。二人は自分に酔っているので鼻に付くし、大しておもしろく無い不倫劇。その不倫劇だけで一時間半程も続くので飽きて来る。その後の第二部でも貴族の娘が主人公に惚れるのだけれど、それも前置き無しで急に惚れてしまった後になったり。振りも特に無く、突然熱烈に主人公に惚れまくる女性達は、さっぱり分からないし、死ぬだの何だのの騒ぎは見ていても馬鹿らしいし。時間経過も分かり難く、行き成り半年経過とか、決闘するって話が進んでいたのにその話は行き成り何処かに行き、イギリスから帰って来たり、編集でばっさり間を切ったのか、元々中抜きな脚本なのか分からないけれど、そのすっ飛ばしぶりで途切れ途切れなブツブツ感ばかり目立つ。
また、主人公が権力志向で上昇志向が強いのは、貧しく育ちが悪い農家の出だかららしいが、その様な描写が無く、初めから上品な青年で、その動機からの意欲に何ら説得力は無く、ただ単に頭の弱い若者にしか見えない。
それから、聖職者なのに貴族の家に勤めて、勲章もらったり、社交界に出たり、当時の社会や風俗がさっぱり分からないので、話の展開について行けず。

演出も、主人公が「罪を犯してやろう。」と思い、夫人を抱きしめ、そのまま倒れ込んでフェードアウトなんて、1954年の映画だから仕方ないけれど、今見たら笑ってしまった。流石に今だとコントな演出。
また、主人公が心情を全てナレーションで言ってしまうのもつまらなくしている。小説的と言ったらそうだけれど、映画的にはそれだとしょうも無い演出。それが多用されるのは第一部で、第二部になるとそれも、急に実際に声を出しての大きな独り言になってしまうしょっぱさも。
セットも室内は本当に安っぽいし、外も花の都パリなのに田舎町っぽいし。全体的に三時間を超える大作映画なのに、演出にしろ、セットにしろ物凄く安っぽい。

一番「へ~。」と思ったのはシャンデリアの蝋燭への火の付け方。蝋燭の芯の上部に糸をぐっるろ巡らせ、それを下まで垂らし、その糸に火を付けたら全ての蝋燭に火を付けられる仕組み。

第一部の不倫話はダラダラ続き、まあつまらなく、第二部になっても飛び飛びな総集編的構成なのに、ダラダラとしたメロドラマで退屈するし、映画的にもやっぱり長編小説を三時間程度の映画にするのは難しいのが分かる。この映画見るんだったら小説読んだ方が良いだろうし、小説もこの映画通りの話なら、こんな自惚れた女ったらしの話が延々と続くなら途中で投げ出すのは読む前から分かったモノ。原作はもっと社会批判的な部分が多いらしいけれど、この映画見ても原作読もうとは、まあ思わない。

☆★★★★

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