エバー・アフター

2012年06月05日 火曜日

童話の「シンデレラ」を基にした映画「エバー・アフター(Ever After)」。

話の基礎は「シンデレラ」。そこに現代的な闊達な女性としてのシンデレラを中心に置いて、封建社会や身分社会、政治話も盛り込んで、より現実的な話にした恋愛映画。
シンデレラのどうしてそうなったかの境遇をきっちりと説明し、恋愛話もきっちりと描いて行くので、「シンデレラ」的お伽話を期待すると大分違う。いたって現実的な「シンデレラ」。
主人公のドリュー・バリモアは権力や社会制度に文句を言う現代的女性になっていてどうかと思ったけれど、元々田舎暮らしの闊達な子で、その後召使いの様に継母に扱われているからの価値観で、一応は成程と思える。継母に酷く扱われたら文句も言い返すし、顔面グーパンチも繰り出すし、現代の女性も喜ぶ様な人物になっている。出て来る人の感情表現も非常に現代的な大袈裟感で、貴族なのに結構ベタベタしているし、時代劇を借りてはいるけれど、中身は大分現代劇。
それに王子は彼女の美しさに惹かれると言うよりは、今まで出会わなかった考え方や、彼女の知性、自由奔放さに惹かれて行くのも、あんまり美人じゃないドリュー・バリモアだからこそ納得出来る部分。でも、最後にドリュー・バリモアが羽付けて現れたの見てしまうと、「やっぱりやめて置くべきじゃあ…。」と思ってしまったが。
始めにグリム兄弟が出て来るので、最後は彼らの原作の様に目潰しでスッキリ終わるのかと思ったら、召使いに降格という、ある意味ドリュー・バリモアが最後の最後で非常に根性悪にしか見えなくなる仕打ちで、首を落とした方がまだ納得するのに。

このドリュー・バリモアは、まだ23歳と若いからなのか、最近と雰囲気が結構違い、田舎臭い普通な女の子で、ちょっと意外な感じ。綺麗な格好をしても、もっちゃりとしたおばちゃん顔で、あんまり綺麗でも無い。
継母のアンジェリカ・ヒューストンは、意地悪な憎まれ役を活き活きと演じていて、ドリュー・バリモアよりも目立って、輝いているかもしれない。化粧を思いっ切り濃くしたら「アダムス・ファミリー」のモーティシアなんだけれど、綺麗な女性。ドリュー・バリモアより全然綺麗。

この映画には何故かレオナルド・ダ・ヴィンチが出て来て、彼の画が盗まれ、取り返した時にキャンバスの様な布を開くとそこにはモナ・リザの画が描かれているのだけれど、モナ・リザって板に直接描かれていたはずなので、こいつはレオナルド・ダ・ヴィンチを騙った偽物だと思って見ていたら、最後まで本人らしく、あの場面の謎のモナ・リザの模写は一体何?

偶然の出会いで王子に惚れられ、言い合いになるけれども惹かれ合い、想いが通じたら離れなくてはならず、でも幸せになりましたとさ、と言う王道の展開。ベタな少女漫画の乗りで、「シンデレラ」を現代的に編集し、まあ上手くまとめたという映画。

☆☆☆★★

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