ロンゲスト・ヤード

2012年01月20日 金曜日

バート・レイノルズ主演の、囚人達のアメリカン・フットボールチームの話の映画「ロンゲスト・ヤード(The Longest Yard)」。

急性のアメフトチームを作る話だから、揉めたり何だりでおもしろいかと思ったら、これがおもしろくはなかった。一番の理由としては、展開や演出が平板で、見ていても全然盛り上がらない。一番盛り上がるはずの試合の場面も遠巻きからの映像ばかりで迫力も無く、意外と長い時間を取っているのに劇的な展開がある訳でも無く、短いカットと画面分割で見せるのは試合が始まって少しだけで、段々と退屈して来る。試合最後の見せ場のスローモーションが妙に長すぎて締めなのに締まらないしで、全体的に演出は出来は良くない。更に、ある程度アメフトを知っていたり、試合を見た事が無いと、場面場面の説明を詳しくする訳でもないので、今何をやっているのか良く分からないと思う。練習も試合も草フットボール程度でそれが徐々に、もしくは目に見えて上手くなり…という訳でもなく、余り上手くないままなのでフットボールで盛り上がらないし、本来見せる場面の話上潰し合う完全反則の攻撃となっているモノも、画面に現れているのは撫でている様な柔い攻撃なのでやっぱりしょっぱいし。この手のスポーツ映画の特徴でもある練習や試合を通じての交流も、人殺しの囚人が気にくわない看守を殴れるからやっているだけだし、試合後の看守の反応も突然如何にも過ぎて白けるしで、どうでも良い感じ。やっぱり主役側が犯罪者というのが大きく、そんなに極悪とも思えない看守達に、自分勝手な犯罪者の勝手な復讐を成し遂げられた所で、爽快さは皆無。

話的にはもっとおもしろくなるのかもしれないけれど、各人物への背景や描写がお座なり、全くのなおざりだったり、初めに出て来てその人物に寄った割に後半の試合では全然顔が出なかったりと、登場人物を全然活かしていない。初めに何なのか良く分からない本編と関係は無いカーチェイスが長めにあったり、刑務所内は看守の暴力や虐待があるから囚人達がフットボールで逆襲してやろうと張り切るのかと思ったら全然そんな事もなく、意外とほのぼのとして自由な刑務所なので囚人達に感情移入出来る訳でも無く、何だかやりたい事をことごとく外してしまった感の強い映画。これが良くある不良の若者達を主役とした話だとかならまだ盛り上がるのかもしれないけれど、それでも「他人に迷惑かけまくりだけど、スポーツをすると一生懸命になる若者の青春映画」なんてクソだけど。

☆★★★★

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