ファイナル・フェーズ 破壊

2021年05月29日 土曜日

マシュー・サントロ監督、ロン・エルダード主演の2018年のアメリカ映画「ファイナル・フェーズ 破壊(Higher Power)」

妻の死でアルコール依存症となり、二人の娘の人生も狂わせてしまったジョセフ・ステッドマンは誰かから監視されており、ある日拉致されてしまう。
目が覚めると誰かの声が頭に響き、言う通りに行動しないと娘の命はないと脅される。
ジョセフ・ステッドマンの目には娘を撮影している映像が流れ、謎の声の命令通りに動き始める。

Amazon プライムビデオで配信が終わりそうな映画を粗筋も読むか読まないかで前知識をほとんど無しで見てみるシリーズで見た映画。

始まりは不幸から抜け出せない父親が何かに巻き込まれて、脅されてどうしようもない状況下で望まない犯罪に加担して行くというよくある様なサスペンス・ホラーなので余り乗り気になれずに見ていたら、中盤以降突然特殊能力が発現したスーパーヒーローモノになって驚いた。
終盤になるとぶっ飛んだ話になって来て、結局はこの監督はアメコミ好きで「ウォッチメン」をやりたかったのか…と思ったという変な映画。

序盤の哀しい家族の話に乗って行けず、しかも完璧な監視体制と謎の超技術による主人公の改造で舞台が現在なのにやり過ぎ感が強いし、設定を作り出す為の都合の良さ感が強くて全然乗って行けなかった。
所が、この強制的な行動のサスペンスから謎の装置に入ったら謎のエネルギー放射や体のエネルギー化になって、何のこっちゃな超絶展開になり困惑。
しかし、初めからブラックホールがガンマ線バーストを放射して地球が滅亡すると言う話が出て来た時に、ガンマ線と言えばマーベル・コミックスのハルクだよなぁ…と思ってしまったけれど、実はこれが当たり。
主人公が謎の装置での改造後は主人公のストレスや怒りが大きくなるとパワーを発揮したり、変身するなんて完全にハルク。
しかも、その後主人公は全身がエネルギー化し、服を着ているはずなのに全身が裸っぽくなって青く光り、謎のパワーで何でも出来る様になるなんて、完全にDCコミックスの「ウォッチメン」のドクター・マンハッタン。
謎の装置で人間が神の様になるなんて、ドクター・マンハッタンそのままだし、「ウォッチメン」ではあのような形で世界を救おうとしたけれど、この映画ではドクター・マンハッタンが世界を救うという展開。
最後何故か死んでしまった娘達が生き返るのもドクター・マンハッタンだから…だしなぁ。

映画の展開としては描かれていない部分も多くて、都合の良い意味不明部分も多い。

若い物理学者がガンマ線バーストが地球に直撃すると主張しているが、何でこの若い物理学者はそんな宇宙の遠い現象を観測出来ているのか?
本当ならそういう装置で観測出来るベテラン学者や大規模な研究所とかでないといけないのに、年寄りだと娘と恋仲にならないからだし、研究所だとそもそもの話が違ってくるからか。

光の球体で表現されるブラックホールもよく分からないけれど、広過ぎる宇宙で常に動き続けている恒星系や惑星なのに一直線で地球目掛けてやって来るガンマ線バーストって…。

結局声で指示していた人物は何者で、何で若い物理学者は彼を知り、誰があれだけの人員と物資と資金を提供していたの?

ガンマ線バースト対策の機械を作るよりも人間をドクター・マンハッタン化させた方が良いという判断。

ドクター・マンハッタン化させたあの機械は本来は何の目的の装置?

等、やりたい事の為の説明の端折りが多く、ただただドクター・マンハッタンに行く為だけの都合の良さ。

この映画、強制的なサスペンスかと思いきやスーパーヒーローモノになるという変な映画で、説明はドクター・マンハッタンだからというぶん投げ方で、ドクター・マンハッタンを知っているとドクター・マンハッタンだからか…にはなるだろうけれど、知らない人は話が先走り過ぎて置いてけ堀のはず。
やりたい事は分かるけれど、説明が足らな過ぎ。

☆☆★★★

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