フランケンシュタインの花嫁

2021年05月10日 月曜日

ジェイムズ・ホエール監督、ボリス・カーロフ主演の1935年のアメリカ映画「フランケンシュタインの花嫁(Bride of Frankenstein)」。
映画「フランケンシュタイン」の続編。

前作「フランケンシュタイン」で村人達に風車小屋に火を付けられて死んだと思われた怪物だったが、実は生きていた。
怪物を生み出したヘンリー・フランケンシュタインは風車小屋から怪物に投げられたが生きており、彼の元にプレトリアス博士がやって来て自分も生命創造の研究を行っているので是非手伝って欲しいと頼まれるがヘンリー・フランケンシュタインは断った。
怪物が生きていた事が村人に知れ渡り、怪物は村へと現れ人々を次々と殺して行く。
逃げ出した怪物は盲目の老人と出会い、孤独だった老人にもてなされ言葉も覚え始めるが、追って来た村人に追われて墓地へと逃げ込む。
墓地で研究の為に死体を探していたプレトリアス博士と怪物が出会い、自分を攻撃しないプレトリアス博士に怪物はついて行った。
プレトリアス博士は自分の研究を完成させる為にヘンリー・フランケンシュタインの婚約者を怪物に誘拐させて脅し、ヘンリー・フランケンシュタインの協力で女性の死体の復活を行う。
怪物は友達が出来た事を喜んだが、女性は怪物の顔を見て悲鳴を上げて拒否。
自分が誰にも受け入れられない事に絶望した怪物は女性とプレトリアス博士と共に研究室を爆破して最後を遂げた。

映画「フランケンシュタイン」を見て余り出来が良くなかったにも関わらず、続編を見る気になったので見てみた。
映画「フランケンシュタイン」はホラー映画としては分かるものの脚本の出来が酷かったけれど、続編の「フランケンシュタインの花嫁」は脚本は哀しさありでそれなりに出来てはいるのに展開が早くて余韻も無いし、ホラーとしては微妙だし、いまいち。

怪物が村人達を襲う場面は一作目よりも怖さは減っていて、怪物が殴ると相手はあっさり倒れるのでコントっぽく、怪物は理由も良く分からず次々と人々を襲って、子供まで良く分からないまま殺していて、ただ暴れている感じなだけでこの怪物に対してどう思えば良いのかが分からなかった。

その後、盲目の老人との出会いで怪物の恐れや純真さ等の感情が見れ、そこから怪物に対する感情移入になるのだろうけれど、これ以前に子供まで意味無く虐殺しているので何も感情移入出来ない。

結局怪物は友達が欲しかっただけなのに、その花嫁にも拒否されて絶望して自死を選ぶのは非常に物悲しいのだけど、ここら辺を結構早く、あっさりと済ますのでそこまで物悲しさが出ないままで終わってしまうので物足りない。

全体的にホラー感と怪物の哀しさで攻めるだろう所を、プレトリアス博士の研究室の場面では瓶に入ったミニ人間達が登場し、これらが笑かそうとしていて、ここの場面が変にチグハグ。
それにこのミニ人間は各個人がはっきりとした人間的な自意識を持っていて、このミニ人間を作り出しているプレトリアス博士の研究の方が死体を蘇らすよりも相当凄い事してるじゃんと思ってしまったし、プレトリアス博士はどうやってヘンリー・フランケンシュタインが研究していたのを知っていたの?という疑問もあるしで、プレトリアス博士はやり過ぎな人物なのに説明は足りないし。

一番引っかかったのは画質と音質。
Amazon プライムビデオで見たのだけれど、画質と音質が非常に悪い。
画質は細かい所はぼやけ、ノイズは出るわ、音質も音源を圧縮する時にビットレートを落とすと出て来るあのホワホワ言うノイズが出まくり。
画面下の走査線が乱れていたし、途中でビデオテープで出て来ていたビリビリの砂嵐もあったので、これって多分ビデオテープからそのままデジタル化したんじゃないかしらん?
「フランケンシュタインの花嫁」は既にパブリックドメインだから日本語字幕だけ付ければよさそうなモノなのに、こんなやっつけ仕事で配信しているはちょっと信じられなかった。

この映画の中で一番「おっ!」となった場面は、盲目の老人と怪物が言葉を交わす場面。
ここでのやり取り「Good. We are Friends. You and I. Friends. Hahaha. Good」
「Before you came,I was all alone. It is bad to be alone. Alone. Bad. Friend. Good. Hahaha. And now come here.」のやり取り聞いた事ある!と思ったのは、P-MODELのアルバム「LIVEの方法」の中の「LEAK」でそのまま、丸まま使われているから。
長年感じていた、元ネタは何かの古い映画だと思っていたのがスッキリした。

この映画、この時代に後年映画の続編でよく使われて、擦られまくらている「実は~は生きていた!」を既にしているという部分では歴史的かもしれないし、単なる怖い怪物だったのが人間的な感情を持ち合わせているという部分を描いているのは良いのだけど、結構あっさり目で次々と展開して行くので見終わってもいまいち心には残らないまま。

☆☆★★★
 
 
関連:フランケンシュタイン

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