狼よ落日を斬れ
2012年04月09日 月曜日大河的な長時間時代劇映画「狼よ落日を斬れ 風雲篇・激情篇・怒濤篇」
幕末に偶然出会った武士達、高橋英樹、緒形拳、西郷輝彦、近藤正臣といった濃い面々を中心に、それぞれが大きな時代の流れに翻弄されながら、お互いに関わり合い、因縁を見せる悲喜劇。なんだけれど、大作映画というよりも何だか連続ドラマの総集編を見ている感じ。前半から中盤まではじっくりとそれぞれを描いていたのに、後半になると急にバタバタと、それも都合良くあっさりと話が展開して、一気に興が冷めて行く。それは元々三作の映画だったのを一作にしたらしいからか。流石に2時間40分もあると見ていてもどうしてもダレてしまう。折角の役者陣だし、連続ドラマにすればもっとじっくり、それぞれの人物の微妙な関わり合いが見せれるのにと思ってしまう。
殺陣は、効果音が安過ぎるのでどうしてもしょっぱく見えてしまう。それに、真剣と言いながら振りが軽く物凄く竹光感が強く、如何にも時代劇の殺陣で映画と言うよりTVドラマを見ている感じで安い。そしてそれも、初めの頃はそれなりだったのに、段々と安っぽさが滲み出て来る。最後の方の人間真っ二つは出来の悪い冗談で、失笑。
やっぱり時代劇で高橋英樹が出て来ると、つい「越後製菓!」と思い、口に出して言いたくなってしまう。それにこの設定では10代?20代?という若さなのに、どう見てもおっさん。師匠でもあり、育ての親でもある田村高廣とそんなに歳が違わない様に見えるし。でもこの当時はまだ30歳。大分老け顔。でもしかし、この高橋英樹はカッコ良い。背も高いし、男の魅力ムンムン。
緒形拳は流石に存在感が強い。おっそろしい顔と笑顔の緊張と緩和の表情は本当に魅力的。
他の役者陣も濃いし、存在感が強い分、映画の構成が余計に勿体無い気がする。
映像や音が凄いテレビドラマ的で、構成も連続ドラマでもっと深く、長く見せるモノだと思われるのに、映画なので物凄いあっさり感。
☆☆★★★