28週後…
2012年02月17日 金曜日「28日後…」に続き、その続編「28週後…(28 Weeks Later)」。
続編だけれど、前作とは設定を同じにした別物。「28日後…」がおもしろかった分、これはつまらなかった。
全作は流れる様な展開で、世界がどうなっているのか分からない不安感と、何処から感染者が来るのか分からない緊張感があったのに、この続編はそれがない。初めの脱出は非常に良い恐怖と嫌さ加減と早さで惹きつけるのだけれど、その後一時間位はだらだらと特に何も起こらない話が続き、ダレ、ホラー映画として始まるのが遅過ぎる。そしてロバート・カーライルを中心とした後悔の物語かと思いきや、遅い時点でいきなりパニック映画になり、視点もその息子だったり、最後は娘になったり、とにかく視点が彼方此方行ってぶれる。ぶれるのは話だけではなく映像もで、ドキュメンタリー的な効果を狙ったのだろうけれど、常に手持ちカメラでぶれまくり、見難いったらありゃしない。それに編集も、短く繋ぎ早さを出そうとしているのだろうけれど、何が起こったのか、何を見せたいのかを確認する前に次のカットに行ってしまうので、良く分からないまま次に進み、必死に見るのが段々と面倒臭くなって来る。更に登場人物のほとんどが、自分勝手で、自分が気持ち良い事を優先する行動で次々に折角の事が崩壊して行くので、この人物は大丈夫なのかと言う緊張感が全く出て来ない。特に息子は、見ていてもシラッ~とするだけで、続編に続けるためにどうせ最後まで生き残るのは分かり切った事だし、サバイバル映画としても緊迫感を持って見せるだけの引っ張りが無い。前作は街全体が、都市全体が感染者で溢れていたので何処からも現れるのは分かるけれど、今回は一部、数十人位なのに、何故か上手い事全面爆撃を逃れ、何故か登場人物達の位置が分かり追っかけたり、都合良く動かされて、脚本的に、展開や劇的なモノを狙い過ぎで、上手く行き過ぎで、わざとらしさが出ている。
最近の映画は続編が作られると二作目が良い出来と言うのがあるけれど、これは外した感が強い。実際、「28日後…」が監督ダニー・ボイルで、製作費80万ドルと結構低予算で作られ、興行収入8200万ドル以上稼いだのに対して、この「28週後…」は製作費1500万ドルで、興行収入6400万ドルと前作を下回り、続編の話はあるけれど今だ出来ておらず、この監督ファン・カルロス・フレスナディージョではなく、再びダニー・ボイルになる様だし、ファン・カルロス・フレスナディージョがこれ以降映画を一本しか撮っていない事を考えると、脚本にも入っているファン・カルロス・フレスナディージョを監督にしてしまった事がこの続編の結果になったんだろうなと思う所。
これがおもしろくないと感じてしまったのは、テレビ大阪のせいもあると思う。インターネットでこの「28週後…」の感想を見ていたら、「ヘリコプターで感染者をバッタバッタと…。」と言うのを見つけ、「そんな場面無かったぞ…?」と思い色々検索してみたら、オリジナルでは最後の方にヘリコプターで感染者をバッタバッタと行く場面がある事を知る。暴力的と言うか、グロテスクな場面だからカットしているのだろうけれど、だったらそれが見せ場になっている映画をわざわざ放送するなと。同じくテレビ大阪の深夜枠で「キングダム・オブ・ヘブン」を放送した時も、本編45分カットという酷い編集だったけど、深夜放送でもまともに映画を放送しないのだから、もうこの枠での放送は、特に見なくても良いやという、映画自体もテレビ大阪にも期待しない映画だけにしておこう。
☆☆★★★