妖術秘伝・鬼打鬼
2026年10月02日 金曜日サモ・ハン・キンポー監督・脚本・主演の1980年の香港映画「妖術秘伝・鬼打鬼(鬼打鬼 Encounters of the Spooky Kind)」
ジェン・ダイタンは村の名士ダンの送迎人として働いていたが、ダンはジェンの妻と浮気をしていた。
その現場にジェンが乗り込んで来てダンは正体を知られずに逃げ出せたが、このままで何時か知られてしまうと思い妖術師にジェンの殺害を依頼する。
しかし、妖術師への依頼を知った妖術師の弟弟子は金を貰って人を殺す事が道に反すると兄弟子と揉め、ジェンを助ける事にする。
ジェンは妖術師が操るキョンシーや悪霊から弟弟子の助けを借りながら生き延び、妻の浮気相手で自分の命を狙って来ているのがダンと知り、弟弟子とダンの下に乗り込み妖術師と対決する事となる。
古い香港映画を見る流行が来ていて、その中でサモ・ハン・キンポーの映画を見ていて古い時代の映画から見ようと思っていたのだけれど「霊幻道士」の配信終了が間近だったので先に「霊幻道士」を見てから、その元となったと言われているこの映画も見てみた。
確かにキョンシーが出て来る映画ではあるし、サモ・ハン・キンポーがキョンシーと戦ってもいるけれど、キョンシーはあくまで妖術師が使う術の中の一つの操られている妖怪位の位置で、他にも幽霊なのか?妖怪なのか?の者や、何かの神々?を人に憑依させたりと妖術が主題で、思っていたキョンシー映画ではなかった。
それに映画はこの時代の香港映画だからなのか、今まで見たサモ・ハン・キンポーの映画でもその傾向はあったけれど説明も無く何だか分からない展開が急にあり、その割に各話が間延びしがちで、結局は人間同士のカンフーを見せる為の映画になっていて、「霊幻道士」がとてもおもしろかった分だけガッカリ感が強かった。
始まりからしてサモ・ハン・キンポーが悪霊に肉を噛み千切られる恐怖場面から始まるんだけれど、これが夢でそれからの話とは関係無く、次に出て来る鏡の中の悪霊もてっきりこの悪霊が取り付いての話になるのかと思いきや鏡を割ってお終いで、その後の話に一切関係無く、単に掴みとして怖そうな話を入れておいただけの様。
その後の不倫の口封じで主人がサモ・ハン・キンポーを殺そうとするのは無茶苦茶な話ではあり、その殺害を妖術による遠隔操作で…って、直接毒殺とかの方が簡単だろうにと思えるサモ・ハン・キンポーがキョンシーと戦う展開に持って行く為の強引な話で何だかな…となってしまった。
廃寺でサモ・ハン・キンポーがキョンシーに襲われる場面は、これまで見た事が無かったキョンシーが手足をカクカクさせながらちゃんとカンフーをしたのが意外でおもしろくはあったものの、この場面を二夜続けてと二回もするので飽きてしまう。
更に捕まって逃げ出したサモ・ハン・キンポーが今度は偶然キョンシーになってしまった野良キョンシーと戦ったので全編でキョンシーとの対決になるのかと思いきや、次に妖術師は妖怪?悪霊?を送り込んでいて、キョンシーモノにもし切らないまとまりの無さで雑多。
最後は主人公であるはずのサモ・ハン・キンポーは結構そっちのけで妖術師同士の妖術対決になって、主人公は誰だったけ?になるし。
でも、この最後の戦いはこれだけ見ると結構おもしろくはあり、まず祭壇が高い方が強いんだ!と言い出してお互いが高い位置に祭壇を設置したので笑ってしまったし、その祭壇で周囲の人達に何らかの神々らしき者を乗り移らせると強くなって戦い、多分普通の中年老年のダンも剣を振り回して戦うし、妖術師達は炎を放って相手を焼き殺そうとするしでやりたい放題の無茶苦茶な事の連続で急に笑いに走ってしまう。
このサモ・ハン・キンポーによるカンフー対決をする為に最初に妖術師に付いていた弟子がこの最後の場面では完全に別人になっており、その理由は映画内では一切出て来ないけれど多分最初の弟子の役者はカンフー要員ではなかったのカンフーが出来る人に変わったんだろうとは思う。
で、この最後の戦いは妖術師はお互いに死亡。
ダンは部下を殺してサモ・ハン・キンポーに殺されて終わり。
浮気していたサモ・ハン・キンポーの妻はサモ・ハン・キンポーが何度もぶん殴ってからぶん投げて終わりと、終わりも無茶苦茶。
題名の「鬼打鬼」を調べてみたら、広東語(広州語)で使われる慣用句で、文字通り「幽霊と戦う幽霊」から「身内内の揉め事・内紛」「特に悪人同士の内輪揉め」という意味で使われているそう。
なので、題名通り妖術師同士の内輪揉めだし、主人公の主人が主人公の妻と不倫した所からの内輪揉めだし、最後は主人公夫婦の内輪揉めで終わっているので、まあ題名通りの内容と言えばそうなのかとは思った。
この映画、当時似た様なカンフーモノが多い中から妖怪モノ、妖術モノをしたという部分では新たな道ではあったのだろうけれど、「霊幻道士」を先に見てから「霊幻道士」に繋がる元と言われると何だか微妙ではあり、キョンシーやキョンシーに関する法術ならリュー・チャーフィーが出演していたこの映画の前年1979年製作の「霊幻少林拳」の方がまだキョンシー映画で、でも「霊幻少林拳」も最後は人間同士のカンフー映画にはなるんだけれど、この映画はサモ・ハン・キンポーの毛色の違う妖怪妖術カンフー恐怖映画といった感じで、まあこんなものかぁ…な映画でした。
☆☆★★★