ハムナプトラ/失われた砂漠の都
2025年04月18日 金曜日スティーヴン・ソマーズ監督・脚本、ブレンダン・フレイザー主演の1999年のアメリカ映画「ハムナプトラ/失われた砂漠の都(The Mummy)」
シリーズ一作目。
1926年。
カイロの博物館に勤めるエヴリン・カナハンの兄ジョナサンが伝説の都ハムナプトラへの地図を持って来た。
エヴリンとジョナサンはハムナプトラに行った事があると言うリック・オコーネルを連れてハムナプトラへと向かい発掘をすると一体のミイラを発見した。
更に見つかった死者の書をエヴリンが声を出して読むとミイラが復活。
ミイラは三千年前に王の愛人と恋に落ち、王を殺害した事の罰として生きたままミイラにされた大神官イムホテップで、復活したイムホテップは自分の体を取り戻す為に発掘隊を襲い、愛人を復活させる為の生贄としてエヴリンを狙っていた。
ハムナプトラのシリーズは、ブレンダン・フレイザーのこの役を見た記憶があるので、多分地上波のテレビ放送で見かけたのか、ちゃんとどれか見た事ある様な無い様なな感じで、Amazon プライムビデオでシリーズ三作の配信が終わりそうだったのと、三作目でジェット・リーが出ているので見たかった事もあってシリーズの一作目から見てみる事にした。
で、見てみたらちゃんと分かりやすく各人物を早い段階で立てて、飽きさせない様な次から次の展開と続けて思っていたよりもおもしろかった。
人物は脇役も皆役者の濃さもあり、台詞や行動で早い段階でちゃんと役を立てていて、何だったら主人公のブレンダン・フレイザーが一番薄いんじゃないの?と思える位でしっかりしていた。
主人公が肉体担当で、レイチェル・ワイズが考古学者で説明担当と、単なる主人公だけが目立つ訳でもなく、メロドラマ部分のヒロインだけという役割でもなく、この役分けは興味深かった部分。
ただ、主人公は肉体担当なので賢くはなく、ヒロインもヒロインの中途半端な知識と無知が大体の元凶なので賢くは思えず、更に兄貴は調子乗りの馬鹿なので冒険物での賢さはあんまり無かったけれど。
一方、アーノルド・ヴォスルー演じるイムホテップが圧倒的に強くてたじろがないのでカッコよく、強烈に印象に残った。
その他の脇役はハリウッド映画的な役を立てておいて特に意味も無く殺して退場させてしまうという典型は多かったけれど。
初めの刑務所の所長とか、終盤のイギリス軍の飛行士とか、後から付け足して放り込んだので急な退場だった様な感じもあった。
展開も始めにイムホテップの説明を一気に見せ、そこから徐々に登場人物が増えて行きながらの発掘冒険物から、中盤でイムホテップが復活するとモンスター・パニック・ホラーにして、終始ダレずに最後まで突っ走って行くのでおもしろく見れてしまった。
如何にもなコメディ部分は真顔になってしまうのは当時の分かりやすいファミリー・ムービー的なアクション映画の典型ではあるんだろうけれど。
CGは1999年なので合成が浮いていたりもするけれど、近年の何でもCGであり得ないド派手さで白けてしまうのよりも全然見れたし、イムホテップの強さ感が良かった。
セットはハリウッドのアクション映画なので作り物感は否めず、エジプトの発掘って遺跡がやたらと狭かったり、砂と土を下に掘って行って見つけ出す印象なのに、ただだだっ広い空間が広がっているのは何とも。
この映画は1932年の「ミイラ再生」のリメイクという名目にはなっているみたいではあるけれどほぼハリウッドのアクション映画になっているのでリメイクなのか?と言うのはある。
でも、途中で出て来た博物館の窓から見えるイムホテップがちょっと吸血鬼と言うよりもドラキュラっぽいとか、民衆がゾンビっぽいとか、他のモンスター・ホラー映画をちょこちょこ入れている感じはあった。
そう言えば、古代遺跡発掘冒険物の先駆のインディアナ・ジョーンズっぽさって無かった気がする。
おもしろいのはその「ミイラ再生」のリメイクとして企画が上がって来た時に監督を依頼した人達で、ヘルレイザーシリーズのクライヴ・バーカーや、狼男の映画「ハウリング」やグレムリンシリーズのジョー・ダンテ。ゾンビのジョージ・A・ロメロ。「エルム街の悪夢」や「スクリーム」のウェス・クレイヴン等そうそうたるホラーの人達に話が行っての何故かのスティーヴン・ソマーズになったという事。
わたしは先にG.I.ジョーの1・2を見てしまっていたので、そのつまらさなから何故スティーヴン・ソマーズ?となってしまったけれど、この映画の前は「ザ・グリード」を撮っていて、この映画は上手い所を付きつつも上手く外して来るという非常におもしろ映画でわたしは大好きな映画で、今では結構カルト映画化しているみたいだけれど当時は謎の強大なモンスターと戦うアクション映画として評価されての事だったんだろうなぁ。
この映画、設定は多分当時過去になっていたミイラ物をアクション映画として作った事で、よく言えば王道、悪く言えば1990年代的ファミリー寄りのハリウッド映画で、色々押さえつつ見せ切った事で結構おもしろくなってちゃんと見れてしまった。
これが当たったのも分かるし、続編が作られてシリーズ化したのも分かる映画でした。
☆☆☆★★