ライフ(2017年)
2022年08月03日 水曜日ダニエル・エスピノーサ監督、ジェイク・ジレンホール主演の2017年の映画「ライフ(Life)」
地球から送り出した無人火星探査機が火星の土を地球付近まで持ち帰り、その土を国際宇宙ステーションの中で乗組員達が分析を始めた。
土の中には単細胞生物がいた事が分かり、火星の気候を再現すると動き出した。
その生物は急激に大きくなり始め、知性らしきものも現れ始めた。
Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので、表示されている画像が宇宙モノの現代SFっぽいという位の前知識で見てみたけれど、入りは良かったのに単なるエイリアン襲撃モノだったのでがっかり。
始まりは撮影に手間暇かけたんだろうなぁと思える宇宙ステーションでの無重量の映像が良く、火星の土の中に生物がいたという調査研究のハードSFな感じでじっくりと見せて行くので「これからどうなるんだろう?」で結構ワクワクして見ていた。
しかし、あの単細胞生物が急激に大きくなって動き出した所辺りからハードSF感が減って怪しさを感じていたけれど、生物が電流装置を壊して持ち出してグローブを破った所で「それはやり過ぎ…」で急激に興味が失せてしまった。
それ以降はこれまで擦られて来た密室でモンスターが襲って来るエイリアンモノでしかなくなって、まあ退屈。
てっきりハードSFだと思っていたのに、初めはハードSFだったのに、急にエイリアンが人々を襲って行く為だけのやたらと都合の良い設定や展開で全然つまらない。
単細胞から大きくなり過ぎとか、火星の環境下で生きていたはずの生物が何故か地球の大気下の無重量状態に速攻で完全に対応し周囲の機械や施設を完全に理解し行動していたり、強力な火を受けても全然平気とか、火星の生物なのに宇宙に出ても変わらず生きて行動出来ているとか、酸素が無い状況でも生きて行動しているのに宇宙ステーションの中で無酸素にすれば活動を休止するだろうとか、設定の都合の良さったら無い。
これって、単に生物を自由に動かして最後まで人々を襲わせ続ける展開の為だけに必要だったという事だけで、この生物感の無さと言うか、単なるファンタジーのモンスターでしかない感じが全然受け入れられないまま。
特に他の宇宙関連の技術は現代の物で結構しっかりと描いている分、このモンスターの都合の良い感じが余計に際立って醒めてしまった。
それにこの生物は初めのまだ小さい時から動き過ぎ、CGで動かし過ぎでこんな生物いないだろう感が一杯だった上に、成長して顔とか出て来たらその造形が如何にもデザイナーが考えた怖そうな生物感満載で更に醒めてしまった。
あの生物の蛸みたい造形って無重量状態だから動けていたし、海の中だと動けると思うけれど、火星の陸上で生きていたというのは相当無理があると思うのだけれど。
登場人物達も初めはそれぞれの背景を描いて人物を際立たせていたので、この人々の人間関係で見せて行くのかと思っていたら単なるモンスターパニック映画になってしまい、後から思うとこの人物描写って必要だった?ってなってしまった。
この映画、役者を集めて、お金をかけて、これまでに粗製乱造されて来た狭い場所でのエイリアン襲撃モノをした映画。
初めからそういう映画だとある程度知って見たらそこそこおもしろいのかもしれないけれど、前知識無しで序盤のハードSF感で期待して見てしまうと序盤を過ぎるとそれからは延々とつまらなくなってしまう。
真田広之が流石と思ったのは演技とかではなく、この映画のインタビューで「この夏は、お化け屋敷の代わりに『ライフ』を見てください」と言っていた事。
正にそう言う事で、これを始めに知っていたら、そういう映画として見れていたんだろうなぁ。
でも、それでもおもしろく見れたかと言えばそうではない気しかしない。
☆★★★★