フロンティア

2021年05月28日 金曜日

ドミトリー・チューリン監督、パヴェル・プリルチニー主演の2018年のロシア映画「フロンティア(Rubezh)」

採掘業者のミハイル・シューロフは新たに進めていた工事現場に行くと、工事現場には第二次世界大戦の塹壕と兵士の遺骨や遺品が残っているので工事の延期を求めて抗議している女性がいると知る。
ミハイル・シューロフは工事を中止するつもりはなかったが、女性と共に塹壕に入って彼女の話を聞いていると、その遺骨の中の一人が同じ苗字シューロフだと知る。
自分とは関係がないと言うミハイル・シューロフだったが塹壕が崩れてしまう。
ミハイル・シューロフが気が付くと第二次世界大戦中の1942年のその塹壕にいる事に気付いた。
兵士達にはミハイル・シューロフの姿は見えず、触れる事も出来ず、ミハイル・シューロフは兵士達が塹壕の中で自害する姿を見守ると崩れた塹壕から助け出された現在に戻っていた。

Amazon プライムビデオで配信終了しそうな映画を粗筋もそこそこに前知識も入れずに見るシリーズで見てみた映画。

まず、ロシア映画だと言う事に少し驚き、ロシアの歴史も分からないので「戦争って何の?」から始まり、ドイツ軍が出て来たので第二次世界大戦の話かと分かりながらも、事故で気が付いたら過去にタイムスリップしているという時点で大丈夫か?と疑心暗鬼。
わたしは、日本の漫画やドラマでもある「何の理由かも分からないまま気が付いたら過去にいて、そこで何とかして、気が付いたら理由も分からないまま元の現在に戻っている」というのが大嫌い。
これってSFではなく、現代人が過去に行くという作者が思いついた設定を実現させる為だけの余りにご都合主義な酷いやり方で、まだ全ては魔法です…位の説明もあればほんの少しは納得するのに、それさえも無いと説明放棄で作者の独りよがりのクソファンタジーでしかないので、その時点で見る気がしない。
この映画もその手の話かと思っていたら、早い段階で主人公は過去の人々には見えず、飛んで来た弾もすり抜けて当たらないという不可思議な現象になっていたので我慢して見続けた。
主人公はそんな状態なのに川には落ちるし、飛び散った土や砂は体にかかっているしで更に不可思議な状態だし、てっきり現在に戻れずに過去で四苦八苦するのかと思いきや、意外と早く過去から現在に戻ったら、突然空から竜巻が降りて来て、主人公だけはその竜巻が見えて、竜巻の中には過去が見える不可思議な現象が現れて、単なるご都合主義のタイムスリップモノではなくなって行くので結構集中力を持って見れた。
ただ、話の中心が主人公の祖先を辿る話になって行くのだけれど、名前がロシア人なので聞き馴染みが無いので誰が誰だか分からなくなり始めて話は面倒臭くなってしまって、余りおもしろくなくなってしまった。

何より結局の説明が、臨死状態・昏睡状態の主人公の妄想でした…ではなぁ…。
説明が強引だし、実は主人公の方がベッドにいたというどんでん返しの為だけで、じゃあ今までの出来事は何?だし。
この描き方だと主人公が見ていた祖先との繋がりが事実なのかは分からず、主人公の頭の中で起こった事なら主人公が知るはずもない祖先の事なのだから妄想としか思えない。
もし主人公が見ていた祖先との繋がりが事実なら、主人公は昏睡状態で外部の様々な情報を収集出来ている超能力者だし、最後のあざとい先祖達の登場のあれが幽霊とかなら、この世に未練を残した先祖の幽霊が自分達の事を知ってもらいたくて昏睡状態の主人公の脳をいじくって見せていたというホラーだし、やっぱり何じゃそりゃなファンタジーだし。
主人公が目覚めた時に父親とあの女性がいるのも理由が意味が分からないし、女性が主人公を受け入れているのも何がどうなっているか分からない。
最後を強引にまとめた感じではあるけれど、結局説明放棄で何もかもがよく分からないままで、都合の良いだけのクソファンタジーだった。

よく分からないのは、この映画の音も。
映画が始まって流れている音楽が物凄く籠っていて、こちらの音響に問題があるのかと思った位。
それに登場人物達の台詞もエコーなのかリバーブなのか、何かエフェクトがかかっている様な音質で、アフレコには思えなかったけれど、何処かの狭い変な反響のある場所で音を録音したかの様な感じが最初から最後まで。
これって何かの意図があっての演出なのか、単に失敗している、音担当が下手なだけなのだろうか?

あと、よく分からなかったのは、過去の塹壕周辺の土の色。
白く地面を覆っているのは雪だと分かるけれど、それ以外に青や赤の何かの小さな粒が混ざっていて、地面が色鮮やかなのは何?
ロシア人兵士達が持っている銃は黄緑と言うかエメラルドグリーンと言うかの鮮やかな色に塗られている部分があり、緑青なのかな?とも思ったけれど、この当時のロシア兵の銃って銅で出来ていて、酸化する位の古い銃を使っていたの?とも思った。

この映画、謎のタイムスリップ現象を扱ったSFかと思いきや、お涙頂戴の感動モノにする為の過去との繋がりにしたかっただけで、最後は強引でグチャグチャになってしまって、やっぱり現代人が理由も分からないまま過去にタイムスリップするという展開は制作側がやりたい事をする為だけで都合が良過ぎて真面に見ると損するだけ。
この映画が馴染みの無いロシアだから、そこの興味で見れた様なモノ。

☆★★★★

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