トンデモ大予言の後始末
2008年12月11日 木曜日たまたま、古本屋で「トンデモ大予言の後始末 (山本弘)」が目に入った。
以前、この前編とも言える「トンデモノストラダムス本の世界」を読んで、確かこれは未読のはずという事で買い、興味が無くなる前に早速読んでみる。
一世を風靡した、と学会の会長作で、2000年も過ぎた後にノストラダムスのあの1999年の予言の解読書等を間違いを探しながら突っ込みを入れと、気軽に楽しんで読める予言解読書批判書。
この軽い笑かせ傾向で予言解読書の真剣さがなくなるから良いが、この本に載っているこれらの本をいざ実際に読むとなったら、もうクラクラしっぱなしで一冊も読み切れんのでは?
そう思い立ったので、目に付いた「ノストラダムス 1999年から始まる惨劇 (ステファン・ポーラス)」という本を借りてきてパラパラと。
う~ん、これ程の破壊力とは知らなかった…。
前書きの段階で、「ノストラダムスは四行詩の順序を意図的にばらした。その方法は、詩を書いた紙を一斉に投げ、落ちた紙を交ぜ、拾い上げた。だから私が本来の正しい順序に並べ替えた。」と、
誰がそれを見ていたのか分からない事から始まっているのだが、本編では初めの四行詩はあの1999年の予言詩で、その次がソ連の崩壊の予言詩だと著者が言う詩で、年代順でもなければ、何の正しい順序なのか説明も無く分からない並び替え。
しかも、予言詩の解釈もほぼ四段階くらいの連想ゲームで、後になれば途中の連想ゲームも省いていきなり自分の主張なのでクラクラと…。
もう、予言さえどうのこうのと関係のあるのかないのかわからない話が続くので、何ページか読み、後はパラパラとめくるくらい。
この手の本はこうなのかと頭をかかえるが、この本が面白いのは荒俣宏による前書き部分。
そこでは1999年の予言の四行詩がちゃんと「アンゴルモアの大王が…」と紹介しているのに、本編のしょっぱなの1999年の予言の四行詩では「モンゴルの偉大な王が…」と、著者の湾曲解読が出ている。
つまり最初の方を見ればこの著者がどんな事しているか分かってしまうという便利さ。
荒俣さん、やるね。
いや、「トンデモ大予言の後始末」からの本来の目的は、「なぜ、人類が滅亡するとも書かれていない予言で皆がはまって大騒ぎ」だったのか、そこが知りたかったのだ。
この本をよんだ限りでは、「1970年代の環境に対する危機感やら、終末感に乗って五島勉の創作したノストラダムス物語と予言が、今までに無い衝撃で出てきたから」という事なんだろうなぁ。
しかし、現在でも「予言」なぞたまに流行るからなあ。
最近でも、TVにたまに出ている某外国の予言者なる人の本が出ていたので、またパラパラと見てみたら、「ブッシュの次の大統領はアル・ゴアだ!」とか、「2008年は大きな台風が二つやって来る。一つは米国、もう一つは中国と日本に大きな被害をもたらす!」とか書かれていた。
今年2008年は日本に台風が一つも上陸しなかった年!
当たらなさでは予言者とか、占い師って逆に凄いと思えるのだが。
後世の解読者なる人達ではなく、言語学的、歴史学的にノストラダムスの予言を説明した、難い予言説明書とかは日本語でも読める物なのだろうか?