F.R.A.T./戦慄の武装警察
2014年11月19日 水曜日デヴィッド・J・バーク監督・脚本、LL・クール・J、ジャスティン・ティンバーレイク、モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシー共演の2005年の映画「F.R.A.T./戦慄の武装警察(Edison)」。
ただ、トロント国際映画祭で初めて公開した時、批評家からの反応が悪過ぎた為、アメリカやその他の国での劇場公開が取り消され、ビデオスルーになってしまったらしい。
エディソン市の特別武装警察F.R.A.T.に入ったレイフ・ディードだったが、F.R.A.T.が殺人もいとわない違法な捜査と押収品の武器や金を接収していた事に悩んでいた。一方で、レイフ・ディードが証言する裁判を傍聴していた地元新聞の記者ジョシュ・ポラックは、被告とレイフ・ディードの関係からF.R.A.T.を怪しみ、調査を始めた。
歌手のジャスティン・ティンバーレイクが映画初出演。同じく音楽家のLL・クール・Jという二人を中心に据え、モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシーといった脇役に添えて話題性はあるのに、脚本が有りがちな上、散漫なので、話に新鮮味は無いし、引きは弱いしで物凄い普通な出来。
始まりは悩むLL・クール・Jを中心に進んでいるのに、ジャスティン・ティンバーレイクの方の話になると途端にLL・クール・Jが出て来なくなり、ジャスティン・ティンバーレイクの話になってもジャスティン・ティンバーレイクの上司であるモーガン・フリーマンの方の話を描き始めたかと思ったらその後は特に展開もしないままだし、検事のケヴィン・スペイシーも思わせ振りに登場し、ジャスティン・ティンバーレイクを手助けはするけれど目立った活躍もないままだしで、色んな人物を登場させてそれなりに見せる割には描きが浅いので群像劇としては散漫過ぎるし、主役の二人を描くには時間によって一人に集中し過ぎでバラバラだしで、脚本が緩い。
話自体も緩い。今まで15年もの間F.R.A.T.は相当無茶苦茶な事をして来ていたはずなのに、その悪事に気付くのは全然駆け出しの地域新聞の新人の記者が初めて。そもそもF.R.A.T.って警官や刑事等から集めたはずなのに、何で慈悲も無い悪人集団になったのか?とか、色々と設定が適当過ぎる。前半でジャスティン・ティンバーレイクに対してモーガン・フリーマンにあれだけ「事実を公表する義務があるだなんだ」でジャーナリストの役割を説教垂れらさせておいたのに、最終的には銃でドンパチして皆殺し、後は有耶無耶でお終いなんて、これまでサスペンスとしてジャスティン・ティンバーレイクの方の描いて来た事が全くの無駄な上、ハリウッドの派手さだけを求めたアクション映画と大して変わらない酷いまとめとか、もう良い所の上澄みだけを継ぎ接ぎした感しか無い出来の悪い脚本。モーガン・フリーマンが町の小さな新聞社のお金を稼ぐだけの仕事人だと思ったのが、実はピューリッツァー賞まで取った凄いジャーナリストという設定にまでする必要あるのだろうか?何か全員が、映画で良く見る登場人物の典型的な部分を寄せ集めているだけにしか見えなかった。
この映画、それなりな雰囲気と話にはなっているけれど、人物を描くには散漫だし、どの人も浅くしか描かれておらず、話も警察内部の暴走と汚職という在り来たりな題材をやっており、初めは社会派サスペンスっぽいのが徐々に「問題起きたら、殺しておけ」というB級アクション映画の様な酷い展開になり、最後は皆殺しにしたから解決という、前半の展開からしらた絶対避けるべき幕切れになってしまって、ドンドンと残念な出来になってしまう。これだけ有名所を集めておいてビデオスルーになってしまうのも分かる出来の映画。
☆☆★★★