ヤギと男と男と壁と
2012年06月29日 金曜日ジョージ・クルーニー、ユアン・マクレガー、ジェフ・ブリッジス、ケヴィン・スペイシーと豪華な顔ぶれが共演した映画「ヤギと男と男と壁と(The Men Who Stare at Goats)」。
有名俳優出演だったので見てみたけえれど、初っ端から政府の超能力研究の話でコメディしているから「何じゃこりゃ?」なんだけれど、最後までそんな胡散臭い話のコメディ。
新聞記者のユアン・マクレガーが自称超能力者の取材を始めたけれど恋に破れ、中東に傷心取材で行くと、元超能力者開発計画に参加していたと言うジョージ・クルーニーに出会い、そして彼と共に何だか分からない珍道中になって行く。
真面目に超能力を題材にしたSFではなく、胡散臭い人達の胡散臭い話が何処までが本当なのか分からない、くすぐる様なコメディ。だけれど、話が進むにつれて別に笑う話でも無くなる。話が真面目になるとかでなく、何がしたいんだろうか?な事ばかりなので、笑いも薄れて行く。展開はフワフワ漂い、中東情勢を描きつつも、かつての超能力研究を描くが、結局は超能力計画の基になっているニューエイジ思想と同じく、自己解放・自己啓発で良かったね…な話。でも、ニューエイジで笑いを取って終わる訳でも無く、どうも芯がフラフラ。
実際にあったと言われるアメリカ軍の超能力部隊を題材を基にしていて、「ソ連がアメリカが超能力研究をしているデマを信じて超能力研究をしているので我が国も。」という理由で本当に超能力研究を始めたりする、冗談みたいな話で、そこら辺の題材は非常におもしろいのに、結局見終わってもそれに関わった人達の昔話で、真実を暴くと言うより、そんなことがあり、時代も変わったけれど「まあ、いっか!」で済ましてしまうので、「何だろな、これ?」と首を傾げたくなる全体図。
ユアン・マクレガーが「砂漠の星に住む、金髪の少年か?」と言うナレーションが入るけれど、完全にルーク・スカイウォーカーの事で、自分はオビ=ワン・ケノービだからのキャスティング。ジョージ・クルーニーが「俺がジェダイの戦士だ。目の前にいるだろう。」と言うけれど、目の前に本物のオビ=ワン・ケノービが座っているのにニタニタ。狙い過ぎっちゃあ狙い過ぎだけれど。それも初めは受けがあるけれど、次第にしつこくなる割りに話が進まず、一ネタを引っ張り過ぎな感じが出て来る。
役者は、ユアン・マクレガーは至って普通な兄ちゃん。非常に普通で、ちょっととぼけた人を演じているけれど、散々「ジェダイ」と言う単語出て来るので、オビ=ワン・ケノービしか思い出さず、「あんた最強のジェダイじゃん!」と画面上と頭の中の人物像がずれてしまい変な感じ。
ジョージ・クルーニーは口髭生やし、少し痩せているけれど、まあジョージ・クルーニー。ジョージ・クルーニーの吹き替えはやっぱり小山力也で、やっぱり彼じゃないと。
ジェフ・ブリッジスは老けておじいさんだけれど、どうも弾けていない。至って無難な脇役の感じ。
それ以外にも「ターミネーター2」のT-1000でお馴染みロバート・パトリックや、「Terra Nova 〜未来創世記」のテイラー将軍でお馴染みスティーヴン・ラングや、「24」のアーロン・ピアース護衛官でお馴染みグレン・モーシャワーといった良く見た人々が出ているけれど、ケヴィン・スペイシーと同じく出番は少し。特に印象に残る訳でも無い役所。
始めの掴みは良いのに、段々と話が進み全容が見え始めるにつれ、物語の引きが弱くなって行く。この映画の題材「超能力者はいる」という様な、オカルトや陰謀論と同じく、始めは刺激的なのに、良く聞くと「何だかなぁ…。」と急激に失速するのと似ている。良い俳優が沢山出ているのに、その持ち味や勢いを削いで、無くしてしまう所まで行くかどうかは分からないけれど、そんな事を感じてしまう脚本のぼやけ方。まあ、さっと見ればそれなりには楽しめると思うのだけれど、色々勿体無い感じ。
☆☆★★★