Superman/Batman: Apocalypse
2016年05月15日 日曜日2010年のビデオアニメーション映画「Superman/Batman: Apocalypse」。
DC Universe Animated Original Moviesというシリーズの九作目。
ゴッサム・シティに謎の物体が落下。調査しに行ったバットマンの前に現れたのは怪力で暴れ、目からビームを出し、空を飛ぶ女の子だった。
バットマンとスーパーマンは彼女を何とか保護。二人が彼女を調べると地球人とは違う体を持っていた事が分かる。
彼女が乗っていた飛行物体に刻まれていた文字をスーパーマンが解読した所、彼女はカーラ・ゾー=エルと言う名前のクリプトン星人であり、スーパーマンの従姉だった。
スーパーマンはカーラをメトロポリスに連れて行き、普通の人間として共に暮らそうとするが、バットマンはカーラの能力が制御出来ていない事を危険視しワンダー・ウーマンの下で訓練させる事を提案。スーパーマンも渋々同意し、カーラはワンダー・ウーマンの故郷セミシラで訓練を受ける事となった。
スーパーマンとバットマンが見守る中カーラの訓練は続いていたが、そこへ突如大勢のドゥームズデイ軍団が出現。スーパーマンとバットマンとワンダー・ウーマンとアマゾネス軍団で何とか全員を倒したが、その間にカーラがダークサイドに拉致された事を知る。
三人はかつてダークサイドの下から救ったビッグ・バルダに協力を仰ぎ、ビッグ・バルダの導きでダークサイドが住む惑星アポコリプスへと向かった。
何気無くXbox360のカナダタグの方でサインインしたら、ダッシュボードにこの「Superman/Batman: Apocalypse」がFreeと出ていたので、今までCコミックスDのアニメーションは全く見た事もなかったし、DCの方は余り知識が無いけれど無料なので何となく見てみたのだけれど、これが結構おもしろかった。
アニメーションは最早「ザ・シンプソンズ」か「ザ・ペンギンズ from マダガスカル」しか見ず、「ザ・ペンギンズ from マダガスカル」もCGアニメーションだし、現在の日本のアニメがどんな感じなのかもよく知らないけれど、最近のアメリカの2Dアニメーションに感心と関心。
固定された背景の前で人物達が動くのは日本のリミテッド・アニメーションと変わらないけれど、人物達がフル・アニメーションなのでよく動く。
カットを切らずに一つのシーンで戦闘場面を見せる所が多く、その動きまくる戦闘場面が中々気持ち良い。動いてかわしての動きは実写以上だし、スーパーマンやカーラの派手に爆発したり、地面や壁に叩き付けられての所は最近の派手なアメコミ原作のアクション映画的な演出で迫力がある。
フル・アニメーションならではの前後の動きも良く出来ていて、カッコ良い、気持ち良い演出になっているし。
それにスーパーマンがカッコ良い。
スーパーマンってその衣装が1930年代から変わらず非常にださくはあるのに、空中でのたたずまいやトンデモない力で攻撃するけれど俺様感が無い模範的ヒーローで、「やっぱりスーパーマンってカッコいいんだな」と思ったのが新規発見。
その一方で、これでのバットマンは余りカッコ良くない。
バットマンって映画の暗い印象が強いけれど、これでのバットマンは結構ジョークも言うし、ヘンテコな機械で空飛んだり、派手な鎧を付けたりとかの玩具のマーチャンダイジング化の匂いがしまくったり、秘密兵器出した割に活躍しないとか、何か間抜けな感じがしてしまった。
スーパーマンとワンダー・ウーマンが普通の家の中にいるのはそんなモノかと受け入れられるのに、バットマンが昼間の家の居間にいると物凄い違和感があったし。
ビッグ3のもう一人、ワンダー・ウーマンは中々カッコ良い。
ワンダー・ウーマンは余り知らなかったので、非常に攻撃的で凛としている感じだとは思ってもいなかった。こういう姉御肌の人物って良いなぁ。
カーラ・ゾー=エルは田舎から出て来た今時女子の感じで、自由気ままに行動するのでスーパーマンが困るという関係性。スーパーマンが初めて知った親戚家族にちょっと嬉しそうなのが楽しい所。
ただ、カーラ・ゾー=エルの前髪が物凄く気になった。まるで1990年代のバブル期のボディコン姉ちゃんのガチガチ前髪の様な決め方。これって、カトゥーン様式だからと言う事なんだろうか?
話的には題名が「Superman/Batman: Apocalypse」とはなっているけれど、別にバットマンが絶対に必要と言う訳でもないし、バットマンがそれ程活躍せず、最後のダークサイドとの決戦でもバットマンの姿は無く、題名を付けるなら「Superman: The Supergirl from Krypton」。
実際、この元ネタがコミックスの「Superman/Batman」のストーリー「The Supergirl from Krypton」かららしいし。
それにダークサイドが出るのに題名に「Apocalypse」ってマーベル・コミックスへの当て付け?
話は分かりやすく出来てはいるけれど、この「Superman/Batman: Apocalypse」を見ていると、既にビッグ3は知り合いだし、ビッグ・バルダをダークサイドから助けたらしいとか、完全に何かの続編。
調べたら同じDC Universe Animated Original Moviesの「Superman/Batman: Public Enemies」の続編みたい。
なので、レックス・ルーサーが大統領になっていたり、スーパーマンのスーパー愛犬クリプトがいたりと、様々なこれまでの前提が説明も無く出て来る。ここら辺は、ニュー・アースの設定から色々持って来ているみたい。
始めは見ていてもすんなりと入って来るのに、続編なので中盤辺りから訳の分からない展開で結構付いてけないと言うよりも笑ってしまう事が多くなった。
ドゥームズデイが急に出て来て、「初対面ではないのね。関係性が分からないなぁ…」と思っていたら、その後に次々とドゥームズデイが何人も出て来たので笑ってしまった。ドゥームズデイ大売出し。しかも、コミックスではスーパーマンを殺した最強のはずのドゥームズデイが結構あっさりと倒されてしまうのも何だろ?と付いて行けず。
ビッグ・バルダも誰?だし、そのビッグ・バルダが風呂上りでバスタオル一枚で玄関開けているのも何のサービスカット?
終盤、スーパーマンの目の前にダークサイドがいるのに、カーラ・ゾー=エルがダークサイドにボコボコにやられたの見付けたスーパーマンが突如ダークサイドを無視しフラフラと無意識の様にカーラに近寄ろうとし、それをダークサイドがあっさり見過ごしてそのまま行かせるのかと思いきやスーパーマンのマントを掴んで引きずり寄せてボコボコにするとか、緊迫する場面で笑いの演出入れるし、最後ケント夫妻が家に戻って来ると農場も牧場も家もボコボコに壊され、最終的に家が完全崩壊してスーパーマンとカーラが「てへへ…」で、ケント夫妻茫然…なんて、コントの落ちじゃん。
この所々で入る、「そこ笑い入れる所?」の笑いは何なんだ!!ドゥームズデイやダークサイドという大物が出ているけれど、実はコメディ?
まあ、一番最後のスーパーマンとスーパーガールになったカーラがふざけながらメトロポリスの上空を飛んで行くという、非常に気持ち良いし、心地良い場面で締めるので全てが許されてしまうんだけれど。
このビデオ映画、中々おもしろかったけれど、バットマン出さなくてもいいから、本当の血縁者が現れ、歳の離れた兄と言うか父親と言うかの立場でカーラに接するスーパーマンをもっと見たかった。この、ちょっと翻弄されながらも妹の様なカーラを見守るスーパーマンと言うほのぼの感が楽しいったらありゃしない。
☆☆☆☆★