エンド・オブ・デイズ

2013年12月01日 日曜日

ピーター・ハイアムズ監督、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の1999年の映画「エンド・オブ・デイズ(End of Days)」。

ボディーガード等をこなす警備員のアーノルド・シュワルツェネッガーが、キリスト教信者と世界征服を狙う悪魔との戦いの中で鍵となる女性を巡る争いに巻き込まれた…と言うか、関係無いのに首を突っ込んだ為に狙われる事になる。

初っ端から突っ込みまくり。彗星が月の上に見えた日が悪魔の子供が生まれる日とキリスト教の教皇達が言うのだけれど、実際子供が生まれたのはそれから六時間後のニューヨークなので、すでに月は移動して彗星と月は離れているから彗星と関係無いとか、その赤ん坊が生まれた時に何故か悪魔崇拝者がその病院の医者として働いていて、じゃあ悪魔崇拝者は世界中の病院に配備されているのか?とか、自動車に少しの火の手が迫れば大爆発とか、わざわざ神父が「大晦日とか関係無い。」と言う説明台詞があったのに、アメリカ東部標準時で2000年になると何故か悪魔が帰って行ったりとか、何じゃそりゃばかりが多くて、一々そこでつまづいて全然盛り上がらない。そもそも20世紀の末に世界が終るとか、悪魔が復活する意味がよくわからない。イエスが生まれてから丁度二千年でもないし、イエスが処刑されてから二千年でもないし、西暦を制定したのがイエスから数百年後で、暦として一般化してからまだ数百年位なのに、それにキッチリ従っている悪魔の変な真面目さって何?
本場欧米の悪魔モノの映画が微妙なのは、悪魔と言うのは直接手を下すよりは相手の心を操り、惑わすのが中心という基本に乗っ取っているので、話がどうしても地味で「何がしたいの?」という展開になってしまう事。この映画でもサタンの行動が回りくどく、そんな無敵な力があるのだからさっさと彼女の所に行けばいいじゃんと思ってしまい、段々と間抜けに見えて来てしまう。しかもアーノルド・シュワルツェネッガーの役も元刑事の警備員なはずなのに、困ったらとにかくぶちのめす、銃を撃って殺して解決という、頭の悪さ。よくこれまで捕まる事なかったなぁと思える単なる無法者。警察関係者と仲がいいので相当もみ消しを謀って来たのだろうなぁ。出て来る人誰もが頭の回らない、考えない感じの人ばかりで頭の悪い感じの映画。
それに、ヘリコプターに吊られて空を飛ぶアーノルド・シュワルツェネッガーとか、おばあさんをぶちのめしガラステーブルに突っ込ませるとか、悪魔に対して十字架を出した神父がそのまま悪魔に十字架取られて頭にぶっ刺されたり、全体的に真面目なオカルトなはずがどうにも笑えてしまう場面も多数なのが方向性がグダグダしている象徴。

これでおもしろいのは、宗教を扱う映画ではよくあるけれど、信仰心の厚い本来は正義側の人間も相当危ないという描き方。神父達は悪魔を信奉する関係者なら殺したって構わないという暴走振り。サタンが言う「良い事があれば神のおかげ。悪い事があっても何らかの意味付けをする。」と、キリスト教信者でなければ非常に納得する理屈を悪魔側に言わせたり、終始信仰が大して役に立たず銃が大活躍とか、結構キリスト教をくさす。それでも、最終的に「それまであんまり信仰の無かった人が、追い詰められると神頼みで、自己犠牲を払うと上手く行く」という毎度のキリスト教の締めなので、キリスト教信奉者には納得、そうでない人には新鮮味の無い結末でまとめていてガックリ来る。

アーノルド・シュワルツェネッガーが何時もとは毛色の違う、オカルトホラー的な映画にも挑戦なんだけれど、結局は銃を撃ちまくり、大爆発なアクション映画で、そんなに変わり映えしなかったと思ってしまう映画になってしまっている。

☆☆★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply