特殊能力捜査官 ペインキラー・ジェーン

2012年10月01日 月曜日

Syfyで2007年に放送された連続TVドラマ「特殊能力捜査官 ペインキラー・ジェーン(Painkiller Jane)」。

クリスタナ・ローケン演じる主人公ジェーン・バスコは、自分が驚異の回復能力を持っている事に気付き、同じ様に不思議な力を発揮する人々「ニューロ」が他にも存在している事を知る。この「ニューロ」を追い、能力を無力化させる任務を負った政府の秘密組織に入り、仲間達と「ニューロ」捜索し、戦う事になるという話。

主人公ジェーンの能力はほとんどウルヴァリンだけれど、まさにこのドラマの原作はダイナマイト・エンターテイメント(Dynamite Entertainment)の「Painkiller Jane」というコミックス。しかもMARVEL COMICSで主筆(Editor-in-chief)を務めたジョー・カザーダが原作を描き、毎回始まりにクレジットされている。

さて、このドラマ、結局全話見てみたけれど、非常に微妙。不死身の主人公が不可思議な能力を持つミュータント「ニューロ」と戦うのだけれど、始めから前半はニューロは他人に危害を加える様な危険な敵でもなく、自分のしたい事をする為に能力を使い、余り誰かを傷付ける訳でもないので、「奴らは危険だ!」と言う割にその緊迫感は無い。中盤辺りから危険なニューロも出て来るけれど、基本的に相手に幻覚を見せる、精神を操ると言った地味な能力を持つ相手が多く、見た目も地味だし、展開も地味。初めの頃は何かしらの問題をジェーンが身を張って傷付き死んでしまう所まで行くけれど、回復するので大丈夫!という解決方法を取り、ジェーンの能力の設定を活かしていたはずなのに、終盤になるとその回復能力さえ発揮されない回が出て来たり、何だったらジェーンは主役でなく他のチームのメンバーが活躍するので脇役的扱いになっていたりと、最早ジェーンでなくとも良い話になって来てしまっていた。
また、シリーズを通しての展開も、基本的に「ニューロ」が現れたので捕まえるという流れの一話完結の繰り返しで、段々と飽きて来る。途中にジェーン達を罠にかける謎の人物や、政府が何かを隠している風な伏線も出て来るけれど、次の回に行くとまた何時ものニューロ狩りに戻り、特にそれらの事も触れないままずっと話は進み、シリーズを引っ張るだけの伏線の力は無い。
それに、レギュラー陣の扱いもお座なり感が。前半にオープニング・クレジットに出て来ていたジェーンの隣人の女性は、ジェーンと仲良くなったりと少し展開を見せたにも関わらず、特にその後の展開に何か寄与する事もなく退場してしまい全く登場する事も無くなり、何でレギュラーでオープニング・クレジットで出す程の扱いだったのかが分からず仕舞い。ジェーンの同僚だったモーリーンも、普通の人間でこの立場だと話の導入の1・2話目で死んでしまう事が多いのに、そのままジェーンと一緒にチームに加入するちょっとおもしろい役柄で結構活躍していたのに、先の女の子と同じくシリーズ中盤で、特にそれまでの前振りやこれからの展開の盛り上げに何ら関わらず行き成り退場で、変な扱い。また元鉄道員のおっちゃんや、本来なら遺伝子関係の話でもっと前に出て来るはずのドクターも途中で数話出て来なかったりして、レギュラーなはずなのに登場は少しだけで終盤はほとんど出て来ず、やがてオープニング・クレジットからもいなくなり、非常に扱いが悪い。と言うか、この役者達がこのドラマに危機感を感じ、自ら抜けて行った様な印象を受ける。もしくは製作陣が方向性を見出せないまま首を切ったのか?結局不可思議な人事。
更に、製作側も苦労しているのか、それともやる気が無いのか分からないけれど、シリーズを通しての作風や雰囲気が変わり過ぎ。始めの方は、このドラマの世界観は退廃した近未来感を前面に出し、街の雰囲気もガジェットもSFチックだったのに、中盤辺りから至って普通な現代になり、SF感が非常に乏しくなって行く。初めの頃は、秘密の基地に行くには実は古本屋が入口になっているというちょっとくすぐる感じがあったのに、何時の間にその古本屋は出て来なくなり、普通にどっかの倉庫の裏口みたいな所からの出入りに変わってしまう。また、それまではずっとアメリカ国内で話は進んでいたのに、最終盤に来て行き成りヨーロッパへ飛び、そこで事件が展開し、今までの基地さえ出て来なくなってしまう。終盤で行き成り雰囲気を全く変えてしまい、非常にチグハグ、テコ入れ感が拭えない。全話を通して思うと、視聴率の伸び悩みと共にドンドンと予算が削られて行った様な気がする。

最終的にまだ続く様な感じで終わったけれど、このシリーズを通しての微妙さがたたり、結局22話の1シーズンだけで打ち切り。続くシーズンは制作されなかった。まあ、それも仕方ない出来。

この主役ジェーンを演じるクリスタナ・ローケン、見た事あるなと思ったら、「ターミネーター3」のT-Xでか。確かに身長も5ft 11inで180cmと長身で、実際戦う強い女性にはぴったり。
それとクリスタナ・ローケンは、このドラマでも各人恋人がいるのに妙な関係だった相棒コナーを演じるノア・ダンビーと実際に結婚したけれど、一年位で分かれてしまったそうだ。言っちゃあ悪いけれど、それも更にこのドラマを微妙にしてしまった。

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